【上場廃止】タカラレーベン・インフラ投資法人の配当と利回りと運用戦略

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消滅したインフラファンド
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タカラレーベン・インフラ投資法人の概要

名称 タカラレーベン・インフラ投資法人
住所 東京都千代田区大手町二丁目1番1号 大手町野村ビル21階
資産運用会社 タカラアセットマネジメント株式会社
資産保管委託会社 三井住友信託銀行株式会社
一般事務受託会社(会計事務) 三井住友信託銀行株式会社
投資主名簿管理人 三井住友信託銀行株式会社
会計監査人 太陽有限責任監査法人
決算期 5月・11月

タカラレーベン・インフラ投資法人のポートフォリオ構築戦略

■投資対象

 タカラレーベン・インフラ投資法人は、再生可能エネルギー発電設備等を主たる投資対象としています。再生可能エネルギー発電設備等のうち、太陽光発電設備等への投資割合は90%以上、それ以外の再生可能エネルギー発電設備等への投資割合は10%以下と運用ガイドラインで定めています。(比率は、いずれも取得価格ベース)。太陽光発電設備等への投資に際しては、設備規模、日射量及び気候その他の気象条件、接続電気事業者の電線路との接続の容易性その他の立地条件、太陽電池モジュール(太陽光パネル)及びパワーコンディショナーその他の機器・資材の製造業者及び性能その他の技術的要件、当該発電設備の過去における発電実績(もしあれば)、再エネ特措法に基づく固定価格買取制度における調達価格及び残存する調達期間その他の固定価格買取制度の適用条件、並びに敷地等の取得・使用条件又は賃借等の条件を総合的に検討し、投資対象の選定を行います。

投資対象資産 太陽光発電設備等 その他の再生可能エネルギー発電設備等
投資比率
(取得価格ベース)
90%以上 10%未満

 太陽光発電設備等以外の再生可能エネルギー発電設備等への投資に際しても、太陽光発電設備等への投資に準じた検討を行うことができます。

■立地地域

 タカラレーベン・インフラ投資法人が取得を検討する太陽光発電設備等は、原則として、日本国内に立地するものと定めています。なお、日本国内の地域別の投資割合は特に定めないものとします。海外に所在する太陽光発電設備等への投資は全体の10%以下とします。国外にある太陽光発電設備等を取得する場合には、立地する国又は地域の特性及び情勢、発電事業に関する制度及び規制、電気の買取に関する法制度、オフテーカーの属性、信用力等及び電気の買取及び系統接続の条件その他の事情を総合的に考慮します。

タカラレーベン・インフラ投資法人の運用戦略

■安定的かつ成長可能性のある太陽光発電市場への投資

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度が適用され、かつ、原則として既に稼働している、設備自体から安定的なキャッシュフローが見込まれる太陽光発電設備等への投資太陽光発電設備等を賃貸することにより運用するにあたり、各運用資産の賃料は、原則として一定額の最低保証賃料と賃借人が賃借した太陽光発電設備に係る売電収入に連動する実績連動賃料を組み合わせ、かつ、その大部分が実際の売電収入の変動に連動しない最低保証賃料となるように設定することにより見込める安定的なキャッシュフロー太陽光発電設備等によるエネルギー導入量は、経済産業省による見通しによれば、今後さらに増加する余地があるものとされており、太陽光発電市場は、今後さらに拡大する市場であると考えられるスポンサーである株式会社タカラレーベンによる多種多様なスポンサーサポートに基づく投資法人特有の安定性・成長性も期待できそうです。

■資産運用会社のネットワーク

 タカラレーベン・インフラ投資法人の資産運用を受託する資産運用会社は、タカラレーベングループの一員として、主に太陽光発電設備等に特化した資産運用を受託しています。

 タカラレーベン・インフラ投資法人は、タカラレーベンが培った太陽光発電事業全般における運営ノウハウを享受するとともに、資産運用会社独自のノウハウにより、本投資法人の中長期的な成長に寄与することができるものと考えています。

 また、資産運用会社は、タカラレーベン・インフラ投資法人の主な投資対象である太陽光発電設備等の取得機会の拡大・促進を図るため、タカラレーベングループ以外の情報網の拡大を図り、資産情報を収集します。

■スポンサーグループによるサポート

 タカラレーベン・インフラ投資法人及び資産運用会社は、外部成長に関連するスポンサーからの様々なサポートを活用することが可能であり、今後の外部成長に寄与するものと考えています。

 スポンサーは、これまでの太陽光発電事業を通じて、太陽光発電事業を営む他の事業会社、ファンド運営会社、個人事業主などの第三者とのリレーションやネットワークを有しており、かかるネットワークを通じて取得した第三者保有物件の売却情報についても、スポンサーサポート契約において、本投資法人が情報提供を受けることができるものとされており、今後の投資法人の外部成長に資するものと考えているようです。

■適切な保守メンテナンス体制の維持

 タカラレーベン・インフラ投資法人は、自ら又は賃借人をして、太陽光発電設備のO&M業務を技術的なノウハウを有する業者に委託し、取得資産に係る適切な設備の点検や修繕及び設備更新を図ることにより、中長期的な視点から資産価値の維持・向上を図り、中長期的な収益の安定を図ります。

■資産価値の維持・向上に資する修繕計画

 タカラレーベン・インフラ投資法人は、中長期的な運用資産の収益の維持向上を図ることを目的として、運用資産の状況及び特性等を考慮した個別資産ごとの修繕計画を、オペレーター及びO&M業者と協議の上策定し、必要な修繕及び資本的支出を行うものとしています。修繕及び資本的支出は、原則としてポートフォリオ全体の減価償却費もあわせて勘案して投資法人が判断するものとしています。

 ただし、運用資産のパフォーマンスの維持及び向上に資するものと投資法人が合理的に判断したものについては、早期に実施します。

 なお、運営期間中に発生する再生可能エネルギー発電設備等の維持、管理、修繕等に要する費用(再生可能エネルギー発電設備等に賦課される公租公課、再生可能エネルギー発電設備等に係る資本的支出、再生可能エネルギー発電設備を構成する機器又は部品の交換に係る新たな機器又は部品の代金、O&M業者に支払うべき委託料その他の費用、投資法人が保険契約者又は被保険者となる再生可能エネルギー発電設備に係る保険の保険料を含みます。)は再生可能エネルギー発電設備等の保有者たる賃貸人が負担することとし、それ以外の再生可能エネルギー発電設備等の日常的な維持、管理、修繕等に要する費用は原則として賃借人が負担することとします。

タカラレーベン・インフラ投資法人の財務戦略

 中長期的な収益の維持及び向上並びに運用資産の規模と価値の成長を実現するために、安定的かつ健全な財務運営を構築することを基本方針としています。

エクイティファイナンス 新投資口の発行は、有利子負債比率や投資資産の取得時期等を総合的に勘案し、投資口の希薄化に配慮した上で実行します。
デットファイナンス 有利子負債比率は、原則として60%を上限とします。ただし、資産の取得に伴い、一時的に60%を超えることがあります。なお、当面の間はポートフォリオ規模等を考慮して50%を目途に運用します。
LTV水準 有利子負債比率は、原則として60%を上限とします。ただし、資産の取得に伴い、一時的に60%を超えることがあります。なお、当面の間はポートフォリオ規模等を考慮して50%を目途に保守的に運用していす。

タカラレーベン・インフラ投資法人の分配金実績

 タカラレーベン・インフラ投資法人は上場インフラファンド市場が設立されてから1番最初に上場したインフラファンドです。

 上場時からの分配金の推移は上記の通りとなっています。最終的な分配金は2022年5月期に決算を迎えたものが最終となりました。

タカラレーベン・インフラ投資法人の最後

 タカラレーベン・インフラ投資法人は、2022年9月28日に合同会社グリーンエネルギーによる公開買付けのにより発行済投資口の過半数を掌握した合同会社グリーンエネルギーに投資法人の「非公開化」が行われ、2023年2月1日に上場廃止となりました。

 非公開化の理由は主に以下の3つを上げています。

 ①非公開化に踏み切った理由は、投資法人が支払った配当等を損金の額に算入できるという条件を満たすための「導管制要件」を将来充足できない可能性がある。

 ②インフラファンド市場の流動性が低く、相対的に価格形成能力の高い機関投資家の参加が限定的であることで、将来にわたって対象者に対してタカラレーベンが開発した太陽光発電設備を継続的に売却できるか不透明な状況であること。

 ③投資法人とタカラレーベン及び発電事業者たるSPCとの間で締結されている賃貸スキームにおいては、賃借人であるタカラレーベン及び発電事業者たるSPCから賃貸人である対象者に対して、総予想発電量に基づく固定賃料が支払われており、タカラレーベンは、2022年4月以降、再生可能エネルギー発電設備に対する出力抑制の実施地域が拡大していることにより、賃貸スキームにおいて、いわゆる「逆ザヤ」となる太陽光発電設備が増え、タカラレーベン及び発電事業者たるSPCに売電損失が生じる可能性が高くなりつつあること。

 サスティナビリティ、SDGsなどの高まりを受け、インフラファンド市場の法整備も進むと考えていたものの、一向に進展しないということからしびれを切らせたというところではないでしょうか。

 賃貸スキームが逆ザヤという点はFIT価格が年々減少していくなかで新規の発電所取得が分配金上昇のアピールとなってきていない点。出力抑制もあり売電収入が下がってきている中でメンテナンスのコストは発生する、インフラファンド市場が育っていないため発電所を売却することも難しいとなったら撤退は早い方が良いでしょう。

 しかし、タカラレーベン・インフラ投資法人がインフラファンドを「諦めた」ことは残されたインフラファンドのために一石を投じたという見方もできます。

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