インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、世界有数の独立系資産運用会社であるインベスコ・グループに属し大都市圏に所在する大規模オフィスビルへの重点投資していますが、スクイーズアウト手続により上場廃止が予定されています。
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人の概要
名称 | インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 |
住所 | 東京都港区六本木六丁目10番1号 |
資産運用会社 | インベスコ・グローバル・リアルエステート・アジアパシフィック・インク |
資産保管委託会社 | 三井住友信託銀行株式会社 |
一般事務受託会社(会計事務) | 有限会社東京共同会計事務所 |
投資主名簿管理人 | 三菱UFJ信託銀行株式会社 |
会計監査人 | PwCあらた有限責任監査法人 |
決算期 | 4月・10月 |
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人のポートフォリオ構築戦略
大都市圏に所在する大規模オフィスビルへの重点投資
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、ポートフォリオ全体として中長期的な安定的収益の確保と資産価値の着実な向上を目的とし、大都市圏に所在する大規模オフィスビルを重点投資対象資産とします。
他方、大規模に該当しないオフィスビル、商業施設、住宅、ホテル、物流施設、その他の物件にも厳選して投資を行っていきます。
物件選定基準
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は以下の4つの要素を中心とする総合的な判断により、競争優位性があり、中長期的に安定的な賃料収入の確保及び資産価値の着実な向上が期待される物件へ投資を行います。投資対象物件のうち大規模オフィスビルについては特に、賃料負担力の高い優良企業により入居の対象とされやすい、大規模プロジェクトにより開発された物件や、大規模オフィスビルの中でも視認性の高い当該サブマーケットにおけるランドマークといえる物件に対して、重点的に投資を行います。
項目 | 内容 | |
延床面積の目安 | 大規模オフィスビル | 東京圏:延床面積10,000㎡以上、かつ基準階専有面積 |
その他の地域:延床面積7,000㎡以上、かつ基準階専有面積 | ||
それ以外 | 物件ごとに個別の立地特性(当該知己の将来性含む)、商圏の規模及び業態ごとの標準的な規模等を総合的に考慮したうえで適性と判断される規模 | |
建物規模 | 1物件の取得価格がポートフォリオ全体の50%を超えないこと | |
物件クオリティ | サブマーケットにおいて標準的水準以上と判断されるか、又は標準的水準以上に変更可能であること(例、オフィスビルについては、賃貸に適した貸付床の形状、分割対応、階高、意匠、電気容量、空調方式等) | |
耐震性能 | 新耐震適合又はそれと同水準以上の耐震性能を有し、PML値が15%未満であること | |
収益性 | 稼働率及び賃料収入等を勘案し、将来にわたり安定した収益が見込めること | |
テナント(又はオペレーター)の属性、信用力、使用目的、形態及び賃料収納状況が適正であること | ||
遵法性・環境・地質等 | 都市計画法、建築基準法等の関連法令を遵守していること、又は取得後に治癒可能であること | |
有害物質の使用状況がないこと、又はその対応策が適正であること | ||
土壌汚染状況が環境基準等に適合していること |
用途及び物件リターン特性の違いによる分散並びに地域分散
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、東京圏を中心として大都市圏に所在する大規模オフィスビルに重点投資しますが、ポートフォリオ全体として中長期的な安定的収益の確保と資産価値の着実な向上を実現することを目的として、今後それ以外の地域に所在する物件についても、厳選投資していきます。
用途及び物件リターン特性の違いによる分散
景気上昇局面における賃料上昇期待を有する大規模オフィスビルを主たる投資対象としつつ、中規模オフィスビル、商業施設、住宅、ホテル、物流施設、その他の物件についても、用途及び物件リターン特性の違いよる分散の観点から、厳選投資します。
投資対象物件 | 投資比率 |
大規模オフィスビル | 70%以上 |
その他 | 30%以下 |
地域分散
投資対象物件のうち大規模オフィスビルについては、東京圏のうち東京23区を最重点地域、それ以外の東京圏、大阪市、名古屋市及び福岡市を最重点地域と位置付け、積極的に投資を行うものとします。とりわけ、都心5区(注)以外の最重点地域及び重点地域において投資機会をより積極的に追求していくものとします。
上記以外の物件については、大都市圏並びに政令指定都市をはじめとする日本全国の主要都市及びそれぞれの周辺部を対象地域として投資を行うものとします。かかる地域分散により、テナントリスク及び地震リスクの分散も図るものとします。
(注)「都心5区」とは、千代田区、中央区、港区、新宿区及び渋谷区をいいます。
<投資対象地域 -大規模オフィスビル>
投資対象地域 | 投資比率 | ||
大都市圏 | 最重点地域 | 東京23区 | 70%以上 |
(東京都) | 重点地域 | 上記以外の東京圏(東京都(23区外)、横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市 | |
大都市圏(その他) | 大阪市、名古屋市、福岡市 | 30%以下 | |
その他 |
上記以外の政令指定都市、及びそれに準ずると投資法人が判断する都市の中心部 |
<投資対象地域 -それ以外>
大都市圏並びに政令指定都市をはじめとする日本全国の主要都市及びそれぞれの周辺部
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人の外部成長戦略
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、中長期的に更なるポートフォリオの規模拡大を目指します。本資産運用会社の役職員が有する多様な知識、経験及び高い専門性並びに不動産及び金融分野を中心とする独自の幅広いネットワークを活用し、ポートフォリオの質及び収益性の向上に資する優良な物件の取得機会を追求します。また、リサーチ・チーム、アセットマネジメント部及びインベストメント部それぞれの分析力や知見・ノウハウを融合し、優良な物件を厳選の上、投資を行います。
独立系資産運用会社としての強み
資産運用会社は、独立系資産運用会社であることの強みを活かして、特定の利害関係人(不動産開発事業者等)の利害に左右されることなく、投資家の目線に立った投資運用を遂行することが可能であると考えています。
日本における長期にわたる実績に裏付けられた投資運用力
資産運用会社は日本国内において過去17年超にわたって不動産の投資運用を行い、不動産関連会社及び金融機関を中心とし、事業会社や不動産投資ファンド等の様々なマーケットプレーヤーと緊密な関係を構築しています。
大規模オフィスビルへの豊富な投資実績
資産運用会社は、本投資法人の主たる投資対象物件である大都市圏に所在する大規模オフィスビルへの投資実績も豊富です。
三部門の融合による不動産投資プロセス
資産運用会社において、以下のとおりインベスコ・リアルエステートのリサーチ・チームにおけるトップダウン・アプローチからのマクロ環境分析、本資産運用会社のインベストメント部におけるボトムアップ・アプローチによる個別物件の綿密な分析及び本資産運用会社のアセットマネジメント部における運用実績に基づく知見・ノウハウの三部門を融合することにより、取得物件を厳選します。
リサーチ・チームにおけるトップダウン・アプローチ
リサーチ・チームは、マーケットの将来予測等のマクロ環境分析に基づき、本投資法人の投資対象地域の中から本投資法人の目線に合うリターンを確保できる地域の選定を行います。
リサーチ・チームはアジア太平洋地域をはじめ、アメリカ、ヨーロッパの主要な不動産マーケットを調査対象としており、他部門から独立したセクションとして、上場不動産証券等投資部門と不動産直接投資部門の双方に情報を提供しています。
リサーチ・チームは機関投資家向けのマーケットレポート「グローバル・ハウスビュー」を年2回発行しています。かかるレポート作成のプロセスは、トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチとの融合を具体化するものであり、また、その内容はインベスコ・リアルエステートにおける投資戦略の策定及び実行の基礎となっています。
インベストメント部におけるボトムアップ・アプローチ
インベストメント部において定性面・定量面の双方を考慮し、本投資法人のポートフォリオとの適合性をも含めた個別物件の多角的な分析を行うことで、投資物件を厳選します。
アセットマネジメント部での運用実績に基づく知見・ノウハウの反映
アセットマネジメント部は、日本国内において1999年以降、延べ153棟をマネジメントしてきた運用実績及びこれに基づき蓄積された知見・ノウハウを有しており、インベストメント部はこれを物件取得時の適正評価に活用するなど不動産投資の分析に反映します。
物件売却方針
中長期的にわたって運用資産を保有し、収益の維持・向上を図ることを基本方針としているため、原則として短期的な売却は行わないこととします。
但し、例外的に、バルクセールにより複数物件を取得した場合における付属的な物件で中長期的に保有すべきでないと判断される物件や、投資法人のポートフォリオ全体の目標と実際の分散状況、その時点での市場環境、当該物件のテナント動向や市場競争力等を総合的に分析した上で、早期の処分が適切であると判断した物件については、当該時点で売却を行うことがあります。
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人の内部成長戦略
物件収益の最大化
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、保有する運用資産につき、効率的かつ計画的な運用管理を積極的に推進することにより、中長期にわたる安定的な収益の向上を目指します。
物件毎に適正な賃料水準を設定し、かかる水準に比べて低廉な賃料で推移する物件の既存テナントには、交渉を通じ、賃料の引き上げに努めます。こうした既存テナントとの交渉に際しては、既存テナントとの密接な関係を構築し維持することが重要であり、既存テナントへのきめ細かいサービス提供によりその満足度を高めることは、長期にわたる賃貸運営を通じた収益の安定・向上の観点からも重要な要素です。
早期リーシングのサポートと稼働率の維持・向上
資産運用会社は、解約・増減床・賃料減額等を検討している既存テナントの動向も含めて早期かつ正確に テナント動向を把握・分析し、戦略の策定・修正等を図っています。
また、現空室のみでなく、解約予告のあった物件を含めた空室率を2週間に1度の目安で算出するとともに、PM会社との連携を密にすることにより、解約・増減床・賃料減額等を検討している既存テナントの動向も含めて早期かつ正確にテナント動向を把握・分析した上で、ファンドマネージャーを含めて物件の動向を共有する定例会議(2週間に1度程度)を実施します。リーシング戦略の策定・修正等を柔軟かつスピーディーに図るとともに、(オフィスビル、商業施設等については)テナント分散に配慮したリーシングを行うことを通じて、早期リースアップ、稼働率の維持・向上を図ります。
区分所有ビル・共有ビル等運用実績
資産運用会社は、共有者間におけるリーシング計画や工事計画の主体的な調整・決定、管理組合を通じた 管理費削減及び他の区分所有権の取得のためのネットワーク構築など、独自の運用ノウハウを有しています。
最適なプロパティ・マネジメント会社及びビルマネジメント会社の選定
資産運用会社は、独立系資産運用会社であるため、対象不動産の所在地域や用途・規模等の特性に加えて、入居中のテナントとのリレーションシップの有無及び本資産運用会社との過去の実績や報酬の水準等に鑑み、幅広い取引先の中から最適なプロパティ・マネジメント会社及びビルマネジメント会社を選定していきます。
支出の削減
上記のとおり当該不動産に最適なPM会社やBM会社を選定した上、これらと連携し、サービスの維持・向上を図りつつ、物件管理費用の削減に努めます。また、消耗品等の集中購買、品目の見直し及び代替調達先の検討を行うことや、水光熱費の使用量を削減することにより、支出の削減を目指します。
更に、資産運用会社及びグローバルに展開するインベスコ・グループを通じて、世界規模の保険エージェントを採用することで、保険料を削減することが可能であると考えています。
戦略的・計画的な資本的支出及びリニューアル
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、運用資産の中長期的な価値の維持・向上を目指し、戦略的・計画的な資本的支出及びリニューアルを行います。
リニューアル実績
資産運用会社は、多数のオフィスビルのリニューアル実績を有し、かかる実績に基づき適時・適切なリニューアルを行うことを通じて、入居するテナントの満足度を向上させ、賃料水準の維持及び向上を図ることができ、さらに、物件自体の競争力も向上するものと考えています。
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人の財務戦略
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、中長期的な安定的収益の確保及び資産価値の着実な向上のため、安定的かつ健全な財務運営を行うことを基本方針とします。
エクイティ・ファイナンス | 既存の投資主の権利の希薄化及びそれに伴う投資口の取引価格の低下等に配慮しつつ、新たに取得する不動産関連資産の取得時期、LTV、有利子負債の返済時期及び返済までの残存期間、マーケット環境等を総合的に勘案して決定します。 |
デット・ファイナンス | 返済期限、借入先を分散させること及び調達コストを見極めた上で借入金の長期固定化を行うことで、安定的な財務運営を行います。借入先については、国内大手金融機関からの調達を中心とした安定したバンク・フォーメーションを構築します。 |
LTV水準 | LTVは40%から50%の範囲内で運営する方針です(但し、かかる水準を一時的に上回る可能性があります。)。 |
※「LTV」とは、資産総額のうち有利子負債総額(借入金額、投資法人債発行額及び短期投資法人債発行額の総額)の占める割合をいいます。