2020年1月21日に大江戸温泉リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,380円のところ2,415円で着地しました。
自信の分析レベルが上がっていることは高評価

2019年11月期末時点で保有する温泉・温浴関連施設14物件(取得価格の合計36,705百万円)の期末現在における賃貸借の稼働率はマスターリース契約により100.0%を維持しています。また、2019年11月期における保有する14施設の全体の客室稼働率は89.3%と前期比微減にとどまり、総じて安定していますが、台風等の自然災害や地域経済状況の変化等の影響を受けた一部の施設については、前年同期間の実績を下回って推移しました。この結果、ADR、RevPAR及び売上高の実績は前年同期間の実績に対しそれぞれ△1.7%、△2.0%、△2.8%となりました。
2019年11月期の賃貸事業収入については、構成比の高い固定賃料に支えられ基本的に安定して推移したものの、一部の施設については売上原価や経費を加味した利益面において低下が見られ、変動賃料が前期比△8.3%の減少となりました。団体客の集客に苦戦した鬼怒川観光ホテル及びエリア全体の集客が相対的に低下し苦戦した大江戸温泉物語幸雲閣を中心に、変動賃料が未発生又は減少した施設については、根本的な集客向上策や費用削減等の改善案をテナントにて検討していますが、今後継続してその実施を求めていくとしています。2019年11月期末の鑑定評価額は、合計で40,392百万円となりました。前期末に取得した鑑定評価額との比較では、保有施設14物件全体としては横這いとなっています。
2019年11月期末におけるポートフォリオ全体の含み損益については、当該14物件の減価償却による帳簿価額の低下もあり含み益が増加し4,267百万円となりました。また、2019年11月期に新たな施設の取得は行っておりませんが、保有物件の状況及び特性等を考慮した資本的支出に関する計画を策定し、テナントによる必要な修繕の実施を管理するとともに機能維持に必要な資本的支出を実施しました(賃貸借契約に基づき修繕費は原則テナント負担となっています。)。さらに、今後の新規物件取得に向けた案件獲得のための活動を、大江戸温泉物語グループの運営物件にとどまらず、広くマーケットからの取得も前提として行っています。
上記の運用の結果、2019年11月期の業績は、営業収益1,440百万円、営業利益696百万円、経常利益566百万円、当期純利益565百万円となりました。運用物件のウィークポイントを挙げた上で対策を述べているのは良いですが、「集客向上策や費用削減等の改善案をテナントにて検討しています」という点から実質的には資産運用会社としては打つ手無しといったことだと思います。資産運用会社がテナントに対して口を出すことは難しいと思いますが、大江戸温泉リート投資法人は「大江戸温泉」以外のホテルについては見る目無しといっているに過ぎないので何らかの情報提供やアドバイザリーという形でテナントを支援する仕組みが必要なのかもしれません。
ホテル特化では無くレジャー施設特化型J-REITと運用すべきかもしれない

大江戸温泉リート投資法人の資金調達面については、手元資金により2019年7月末日及び10月末日に各々93百万円、11月末に10百万円の借入金約定返済を実施しました。その結果、2019年11月期末時点の有利子負債総額は15,558百万円、LTVは40.3%となっています。約定弁済のみしか動きが無かったためLTVは0.3%減少しましたがDSCRも0.3%減少してしまっています。支払利息の上昇は利息の計算期間により変動するので金利について心配する必要は無いかと思います。
大江戸温泉リート投資法人の2020年予想ですが、大江戸温泉リートは投資対象はホテルなのですがあくまでも「余暇活用型施設」としていいます。そのため重点投資対象が温泉・温浴関連施設ということについて分析しています。具体的には「体験型消費」と呼ばれるものが、アクティブシニア層の拡大や働き方改革などの動きもあり、 国内需要は安定的に増加していくものと予想しています。環境省自然環境局の「温泉利用状況」によれば、2013年度以降2017年度まで、宿泊施設数及び年度延宿泊利用人員については安定して推移しており、温泉に対する需要は中長期の視点からは安定しているという点が根拠となっています。
また、観光立国政策の進捗に伴う外国人観光客の増加に加え、インバウンド需要に占める観光・日本文化の体験といった「体験型消費」のウエイトも高まっていくものと考えているようです。投資法人の保有施設におけるテナント業績については、施設毎の差異はあるものの、今後も全体としては比較的安定した推移を期待できるとしています、固定賃料を中心とした賃貸借に基づく安定的な賃貸事業収入の維持が可能とであるということです。
