産業ファンド投資法人は、「日本経済の力を生み出す源泉としての社会基盤に投資し、日本の産業活動を不動産面から支えていく」ことを理念として掲げ、中長期にわたり安定的な利用が見込まれる不動産に投資しています。
産業ファンド投資法人の概要
名称 | 産業ファンド投資法人 |
住所 | 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 東京ビルディング |
資産運用会社 | 三菱商事・ユービーエス・リアルティ株式会社 |
資産保管委託会社 | 三井住友信託銀行株式会社 |
一般事務受託会社(会計事務) | 三井住友信託銀行株式会社 |
投資主名簿管理人 | 三菱UFJ信託銀行株式会社 |
会計監査人 | EY新日本有限責任監査法人 |
決算期 | 1月・7月 |
産業ファンド投資法人のポートフォリオ戦略
産業ファンド投資法人は、中長期にわたり安定した収益を確保し、また、運用資産を着実に成長させることを目指して、資産を運用しています。
産業ファンド投資法人は、あらゆる産業活動の基盤となり、中長期にわたり、安定的な利用が見込まれる、物流施設及び工場・研究開発施設等並びにインフラ施設に投資し、収益の安定的な確保と運用資産の着実な成長を図ることにより、投資主価値の継続的な拡大を目指しています。
産業ファンド投資法人は、産業用不動産を、研究開発、原材料調達・備蓄、保管、製造・生成、企業間物流、組立・加工、販売物流、リサイクルといった一連の産業活動の拠点となる不動産(インダストリアル不動産)及びかかる産業活動を支える基盤となる不動産(インフラ不動産)とに分類し、更に、以下のアセットカテゴリーを設けています。
インドストリアル不動産 | 物流施設 | 輸・配送、保管、備蓄、荷役、梱包、仕分け、流通加工及び情報提供の各機能から構成される企業間物流業務及び販売物流業務に供する諸施設 | 消費地向け配送センター、輸出入物流施設、製品・原材料保管型物流センター、宅配・路線業者用ハブセンター、温度帯管理型物流センター(冷凍冷蔵チルド倉庫)、トランクルーム等 |
工場・研究開発施設等 | 研究開発、原材料調達・備蓄、保管、製造・生成、組立・加工、リサイクル等を行うための諸施設 | 食品加工工場、飲料工場、パルプ・紙加工工場、化学品工場、石油・石炭工場、金属製品工場、一般機械・産業機械工場、輸送用機器工場、電子部品工場、印刷工場、研究開発施設等 | |
インフラ不動産 | 交通、通信、エネルギー、水道、公共施設等産業活動の基盤として整備される施設 | 鉄道関連施設、空港・港湾関連施設、自動車交通関連施設、データセンター・通信関連施設、エネルギー関連施設、水道関連施設、その他公共施設等 |
物件選定方針
産業ファンド投資法人は、中長期にわたり、安定した収益を確保できるポートフォリオを構築するため、物件を選定するに際して、主として「継続性」と「汎用性」に着目して評価を行います。ただし、工場・研究開発施設等やインフラ施設は特定の賃借人の利用のために設計・建設されているケースが多いため、継続性の評価を重視して物件選定を行っています。
分析の視点 | ||||
継続性の分析 | 賃借人の属する産業分野 | 賃借人の行う事業 | 賃借人の施設 | |
汎用性の分析 | 産業用不動産としての立地の汎用性 | 一般的な立地の汎用性 |
また、汎用性についての評価視点に基づき、以下の立地カテゴリーを設け、「一般的な立地の汎用性」が見込める「都市近郊型」と、「産業用不動産としての立地の汎用性」が見込める「工業集積地型」の案件を中心にポートフォリオを構築しています。
立地カテゴリー
立地カテゴリー | 概要 |
都市近郊型 | 三大都市圏(※1)並びに政令指定都市及びそれに準ずる主要都市に立地する物件 |
工業集積地型 | 原則として製造品出荷額が1兆円以上の工業地区(※2)に立地する物件 |
独立立地型 | 都市近郊型、工業集積地型には該当しないが、リスクに見合ったリターンが十分に期待できると |
※1.三大都市圏とは、東京圏、大阪圏及び名古屋圏をいいます。
東京圏とは東京都、神奈川県、千葉県及び埼玉県をいいます。
大阪圏とは滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県及び和歌山県をいいます。
名古屋圏とは愛知県、三重県及び岐阜県をいいます。
※2.工業地区とは、経済産業省「工業統計表」における工業地区をいいます。
目標ポートフォリオ
産業ファンド投資法人は、「物件選定方針」に基づき、当面の目標として、以下のとおり目標ポートフォリオを設 定しています。なお、実際の比率は一時的に当該目標比率から乖離することもあります。
目標ポートフォリオ | |
アセットカテゴリー | 物流施設及び工場・研究開発施設等50~80% |
インフラ施設20~50% | |
(鑑定評価額ベース) | |
立地カテゴリー | 都市近郊型又は工業集積地型80%以上 |
独立立地型20%以下 | |
(鑑定評価額ベース) | |
賃貸借契約期間 | 2年未満0~20% |
2年以上10年未満20~40% | |
10年以上40%以上 | |
(賃料収入ベース) | |
既稼働物件の割合は、ポートフォリオ全体の80%以上とする (鑑定評価額ベース) |
物件を取得後、運用期間中にアセットカテゴリーのいずれにも該当しない利用形態となった資産(その他資産)については、当該利用形態におけるリスク・リターン特性、ポートフォリオに占める割合、産業用不動産としての再利用の可能性、不動産市況や個別投資の状況などを踏まえ、継続的に保有することができることとしています。
なお、その他資産については、従前のアセットカテゴリーに基づき目標比率の計算を行います。その他資産の割合がポートフォリオ全体の10%を超える場合(鑑定評価額ベース)、経済情勢、不動産売買市場の動向及び個別の物件に係る諸要因等がポートフォリオに重要な影響を与えている等の事情がない限り、原則として当該状態を解消するために必要な手続き(物件売却活動を含みます。)を取るものとしています。
加えて、産業ファンド投資法人は投資する産業用不動産の所在地域が、特定の地域に集中することにより増大する地域経済リスク、地震リスク等により生ずる影響を軽減させるために、その関連情報を定期的に見直して、その投資する産業用不動産の所在地域について適切に考慮するものとします。
また、特定不動産(産業ファンド投資法人が取得する特定資産のうち不動産、不動産の賃借権若しくは地上権又は不動産の所有権、土地の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権をいいます。)の価額の合計額の本投資法人の有する特定資産の価額の合計額に占める割合を100分の75以上となるよう資産運用を行うものとします。
産業ファンド投資法人の外部成長戦略
産業ファンド投資法人は、当初、産業用不動産のうち既に投資用不動産として認知されている物流施設を中心にポートフォリオを構築し、徐々に工場・研究開発施設等及び民間で保有されているインフラ施設の投資比率を増やし、その後、公的セクターが保有しているインフラ施設も取得し、中長期的にはそれぞれの分野のバランスの取れたポートフォリオを構築することを目指しています。
継続性の分析
継続性の分析については、将来的な賃料収入の安定性をはかる基準として、賃借人の信用力、賃料水準及び賃貸借契約の内容等について分析を行います。
工場・研究開発施設等やインフラ施設については、上記に加えて、「賃借人の属する産業分野の継続性」の観点から、賃借人となる企業の属する産業分野について、当該産業分野の特性や競合状況、顧客動向、法規制等将来的な競争力の変化について影響を与えるマクロ的要素について十分なリサーチを行います。次に「賃借人の行う事業の継続性」の観点から、当該企業のその産業分野内での位置付け、事業構成、財務体質、収益性、経営戦略等の分析を行います。更に、投資対象不動産における「賃借人の施設の継続性」の観点から、当該不動産で行われている事業の市場性や競争力、賃借人が複数の事務所にて事業を展開している場合には、当該賃借人の社内における当該施設の位置付け、将来的な統廃合の可能性等についての分析を行うことで、賃借人となる企業が継続して当該不動産を使用する見込みの高さを検討します。
汎用性の分析
汎用性については、上記の継続性に関する分析結果を踏まえて、賃借人の中途解約、契約期間満了後の退去等が発生した場合の投資対象不動産の汎用性について分析を行います。
産業用不動産の汎用性の分析については、具体的には以下の手法に基づき行います。
①「産業用不動産としての立地の汎用性」の観点から、当該立地の周辺における関連インフラの整備状況やどのような産業が集積しているか等を分析し、同業他社の使用可能性、他業種の事業者における代替使用の可能性について分析します。
②「一般的な立地の汎用性」の観点から、現に供されている用途以外の用途への転換の可能性を分析します。例えば都市近郊に立地し交通立地上の優位性・競争力を備えている物件については、マンションや商業施設等への転換可能性について検討を行います。
上記の2つの汎用性の評価を満たさない案件への投資を行うこともありますが、その際には継続性等について分析を行い、投資判断を行います。
開発物件の取得
優良な物件に対して有利な条件で投資を行うことを目的として、開発段階で、フォワード・コミットメントを行い、建物の竣工直後に取得する場合があります。かかる場合には、目標ポートフォリオの比率に加え、当該対象不動産に関する賃料水準等の将来見通しを分析・検討すると共に、竣工後に賃借人となる者との間で賃貸借予約契約を締結すること等により、開発に関わるリスクを極力排除します。
物件売却方針
運用資産を中長期的に保有することを原則とし、短期的には売却しないことを原則とします。なお、運用資産の売却に当たっては、将来における収益予想、資産価値の増減及びその予測、立地カテゴリー、不動産の劣化又は陳腐化リスク及びそれらに対するコスト予測、並びにポートフォリオ全体の構成等を考慮の上、総合的に判断します。
産業ファンド投資法人の内部成長戦略
産業ファンド投資法人は、ポートフォリオの中長期的な収益の維持・拡大を目指し、それぞれのアセットカテゴリーにおける各運用資産の特性を踏まえた成長戦略を策定し、適切な管理運営を行います。また、プロパティ・マネジメント会社を通じて、又は資産運用会社と賃借人との連携を密にすることにより、そのニーズの把握に努め賃借人の満足度の向上を図ります。更に、施設拡張工事・改築等の実施等、運用資産の特性や運用資産を取り巻く環境に応じて、各種施策を実施します。これらの取組みによりポートフォリオ全体としての賃料収入及び稼働率の維持・向上を図っています。
また、管理運営の効率化及び管理運営費用の随時見直しにより、管理品質と管理運営費用の適正化に努めています。
管理運営方針
建物維持管理 | 建物の機能性・安全性・快適性の維持・向上に向けた管理計画の立案を行い、かかる計画に基づく日常管理を実行します。また、建物の機能性向上、経年劣化へ対応するために、中長期修繕計画を策定し、実施します。 |
賃借人との関係強化 | 賃借人と、継続的かつ緊密なコミュニケーションを取り、賃借人の動向やニーズを的確に掴み、満足度を向上させることによって中長期的な収益の確保を目指します。そのため、中長期的な賃貸借契約の締結を基本方針とし、ポートフォリオ全体の契約条件を意識しつつ、賃借人の与信状況を踏まえた適正な賃料、契約期間等の各種条件を設定して契約の更改を行います。 |
賃借人の分散 | 賃借人の信用力、業界における競争力及び地位、継続的使用の見込み、賃料水準その他の賃貸借条件を評価して、賃借人の分散を図ります。また、賃借人との間の賃貸借契約については、中長期安定契約を中心としますが、GDP連動等の変動賃料も一部組み入れることができるものとします。 |
賃借人の誘致 | 各アセットカテゴリーや各賃借人及び業界情報に精通したプロパティ・マネジメント会社等との強固な関係を構築することにより、賃借人の動向やマーケットの賃貸需要・賃料水準等を把握し、リーシング力を強化していきます。 |
増床、増築、改築 | 運用資産の価値向上を図るために、容積率が余剰している物件の増床、増築計画を、又は長期的な収益性向上のために、改築計画を策定し、実施します。 |
産業ファンド投資法人の財務戦略
収益の安定的な確保と運用資産の持続的な成長を目的として、安定的かつ効率的な財務戦略を立案、実行することを基本方針とします。
エクイティ・ファイナンス | 運用資産の取得、債務の返済(借入金弁済及び投資法人債の償還を含みます。)等を目的として、投資口の発行を行うことができます。この場合には、投資口の希薄化(新投資口の発行による投資口1口当たりの議決権割合の低下及び投資口1口当たりの純資産額又は分配金の減少)に配慮し、財務の健全性を確保することで、安定した投資主価値の成長を目指します。 |
デット・ファイナンス | 資産の取得、修繕等、敷金・保証金の返還、分配金の支払、本投資法人の費用の支払又は債務の返済等を資金使途として、借入れを行い、投資法人債を発行できます。低廉な資金調達コストを実現するよう、固定金利借入れの割合、借入期間、担保設定の有無等の借入諸条件を、借入先候補となる複数の適格機関投資家と交渉の上、比較して決定します。また、将来の運用資産の追加取得又は敷金・保証金の返還に係る必要資金の機動的な調達を目的として、極度貸付枠設定契約やコミットメント・ライン契約等の、借入枠設定又は随時の借入れの予約契約を締結することがあります。 |
LTV水準 | LTVは最大60%を目安としていますが、資産取得等に伴い、一時的に60%を超えることがあります。 |
キャッシュマネジメント方針
想定される資金需要(資産の取得、修繕等、敷金・保証金の返還、分配金の支払、本投資法人の費用の支払又は債務の返済等)に対応するため、適切と考える金額の現預金を保有します。
また、減価償却費が大きくなり、必要な資本的支出を勘案した上でも手元流動性が高くなった場合には、運用資産取得等への活用も検討します。更に、敷金・保証金の活用についても検討します。