2021年7月20日に大江戸温泉リート投資法人の決算が発表されました。分配金は当初の予想一口当たり分配金が1,922円のところ1,970円で着地しました。
ホテルは苦境が続くが解りやすい開示で説明する姿勢は〇

前期から保有する温泉・温浴関連施設14物件は、2020年12月末からの新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い、1月下旬及び2月上旬から3月上中旬にかけてすべての施設が臨時休館しましたが、その後、2021年5月末まで「大江戸温泉物語 幸雲閣」を除き全館再稼働となりました。高齢者層の出控えにより平日稼働は低迷が続く一方で、外部の感染症専門医からのアドバイスに基づいたテナントによる十分な感染症対策の徹底が功を奏し、ゴールデンウイークや週末における稼働は比較的高く、若年層やファミリー層の来館が増加したものと投資法人は考えています。
2021年5月期における全体の客室稼働率は28.1%と前年同期間の実績を大きく下回り、ADR、RevPAR及び売上高の当期実績は前年同期間の実績に対しそれぞれプラス9.8%、マイナス44.8%、マイナス49.4%となりました。投資法人の2021年5月期の賃貸事業収入については、テナントである大江戸温泉物語グループの2021年2月までの年間業績に基づき算定される変動賃料について、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う稼働率の低下を受け全施設について前期に続き当期も未発生となりましたが、総賃料に占める構成比の高い固定賃料は満額収受いたしました。
2021年5月期末に取得した鑑定評価額は、合計で40,209百万円となりました。前期末(2020年11月期)に取得した鑑定評価額との比較では、還元利回り(キャップレート)については変動がありませんでしたが、一部の施設の資本的支出等の見直しによる将来キャッシュ・フローの低下により、30百万円の低下となりました。2021年5月期末におけるポートフォリオ全体の含み損益については、当該14物件の減価償却により含み益が増加し5,603百万円となりました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響下、キャッシュマネジメントの観点から一部実施繰り延べ可能な資本的支出の延期等支出の抑制に努めながら、テナントによる必要な修繕の実施を管理するとともに、保有物件の状況及び特性等を考慮した資本的支出に関する計画に基づいて、機能維持に必要な資本的支出を実施しました(賃貸借契約に基づき修繕費は原則テナント負担。)。さらに、大江戸温泉物語グループの運営物件にとどまらず、新型コロナウイルス感染症の収束後を想定して、広くマーケットからの新規物件の取得活動、情報の収集を継続的に行っています。上記により業績は、営業収益1,348百万円、営業利益593百万円、経常利益460百万円、当期純利益459百万円となりました。
財務戦略はキャッシュマネジメントに力を入れるべき

財務戦略の取組みとして新型コロナウイルス感染症の影響によるテナント業績への影響とそれに伴う賃料収入に関するリスクを把握し、投資法人の財務運営におけるリスクへの対応、具体的には当面の借入金の借換えの完遂を最優先し、保守的なLTVコントロールとキャッシュマネジメントによる財務基盤の維持を重視おり、2021年5月期においては、2021年5月31日を返済期日とする長期借入金3,491百万円及び250百万円の返済原資の一部に充当するため、㈱三井住友銀行をアレンジャーとする協調融資団から短期借入により3,491百万円、㈱三井住友銀行から短期借入により240百万円の資金調達を行いました。また、手元資金により2021年1月末日及び4月末日に各々87百万円の約定返済を実施しました。その結果、2021年5月期末時点での有利子負債総額は14,271百万円、LTVは38.4%となっています。
LTV水準は、原則として60%を上限としながら、当面、特に新型コロナウイルス感染症の影響下は資金余力の確保に留意して40%程度以下を目安とし、保守的な水準を維持していく方針です。さらに中長期的にはまた、ポートフォリオの規模拡大とテナントや立地等のリスク分散の推進によりリスクプレミアムの低下を図り、金融コストの低減とともに、高格付けの取得や調達手段の多様化、負債の平均年限の長期化や固定金利の導入などを目指します。
