イオンリート投資法人は、「地域社会の生活インフラ資産」に投資する不動産投資法人(J-REIT)です。
イオンリート投資法人の概要
名称 | イオンリート投資法人 |
住所 | 東京都千代田区神田錦町一丁目2番地1 |
資産運用会社 | イオン・リートマネジメント株式会社 |
資産保管委託会社 | 三井住友信託銀行株式会社 |
一般事務受託会社(会計事務) | 三井住友信託銀行株式会社 |
投資主名簿管理人 | みずほ信託銀行株式会社 |
会計監査人 | PwCあらた有限責任監査法人 |
決算期 | 1月・7月 |
「商業施設等は、地域社会の豊かな暮らしに欠かせない存在、すなわち、小売から暮らしを支える『地域社会の生活インフラ資産』である」との認識のもと、私どもは商業施設等を主な投資対象としています。
私どもは、以下のポートフォリオ構築方針のもと、商業施設等への投資を通じて「人々の豊かな生活の実現」及び「地域社会への貢献」を理念としながら、中長期にわたる安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指します。
イオンリート投資法人のポートフォリオ構築戦略
イオングループの大規模商業施設を中心とした安定性の高いポートフォリオ
イオンリートは、その資産の80%以上を大規模商業施設に対して投資していきます。
また、日本国内での投資を中心としつつ、海外への投資も行います。国内と海外の投資比率は、国内不動産を85%以上、海外不動産を15%以下とします。但し、これらの比率は、資産規模の拡大に応じ、今後見直されることがあります。
投資対象
類型 | 特徴 | |
大規模商業施設 | SRSC(スーパーリージョナル型ショッピングセンター) | RSCをより大型化した、複数の核テナントと、200店を超える専門店を有するショッピングモールを備えた超広域商圏型ショッピングセンター。 |
RSC(リージョナル型ショッピングセンター) | 大型GMS等を核テナントとして、50店以上の専門店を有する広域商圏型ショッピングセンター。日常生活用品から衣料、サービス、エンターテイメント施設等の幅広い業種と業態のテナントが揃った一日中滞在できる「時間消費型」の商業施設。 | |
CSC(コミュニティ型ショッピングセンター) | GMS、ディスカウントストア又は大型食品スーパー等を核テナントとし、20~50店程度の専門店を有する商業施設。 | |
その他の商業施設 | NSC(ネイバーフッド型ショッピングセンター) | 食品スーパー等を核テナントとし、10~30店程度の専門店を有する、日常生活用品を主体とした商圏の小さい小型商業施設。 |
SM(スーパーマーケット) | 食料品や日用品等の購買頻度の高い商品を主力商品とした食品スーパー。 | |
物流施設 | 上記小売業を支えるサプライチェーンを担う物流施設。 |
投資比率
類型 | 投資比率 | ||
国内不動産 | 海外不動産 | ||
85%以上 | 15%以下 | ||
大規模商業施設 | SRSC(スーパーリージョナル型ショッピングセンター) | 80%以上 | |
RSC(リージョナル型ショッピングセンター) | |||
CSC(コミュニティ型ショッピングセンター) | |||
その他の商業施設 | NSC(ネイバーフッド型ショッピングセンター) | 20%以下 | |
SM(スーパーマーケット) | |||
物流施設 | 10%以下 |
国内商業施設への投資
●イオングループが既に構築している各種の商業施設等の強固な収益基盤と安定的な成長性に着目し、
●イオングループが日本国内で運営する商業施設等を中心に投資を行います。
私どもは、商業施設はその性質上、大規模に集積するほど集客力が高く、かつ、売場面積の広さゆえに区画運営に柔軟性を保つことができると考えています。
この考えに基づき、イオングループが運営する商業施設等の中でも、特に希少性が高く、かつ各地域における競争力を有すると考える大規模商業施設を中心に投資を行います。
また、イオングループは、他の小売業に先駆け、商業施設の運営を支える、独自の物流施設による先進的なサプライチェーンを構築しています。私どもは、これら小売業と密接な関係にある物流施設も投資対象の一部とします。
国内資産への投資にあたっては、日本全国を投資対象エリアとし、一地域への偏在を回避し、地理的に分散されたポートフォリオを目指します。
海外商業施設への投資
イオンリートは、J-REIT初となる海外不動産への投資を実施。
海外地域への投資にあたっては、中長期的に経済発展が見込める国・地域に展開している商業施設への厳選した投資を行うとの観点から、マレーシア等のアセアン地域や中国及び人口が増加傾向にある等、中長期的に経済発展が見込める国・地域を投資対象エリアとします。
また、リスクを極小化するため、原則として、マスターリース契約によりイオングループへ一括賃貸をし、イオングループにて管理・運営することが確保され又は確保できるとの確証が得られる商業施設等を投資対象とします。
投資にあたっては、投資対象施設の存在する国や地域における人口動態・経済成長等を踏まえた上で 、法制度・税制・政治制度・文化的親和性等の各種の観点からの複合的な検証を行うほか、 海外不動産特有のリスク(①カントリー・リスク、②オペレーショナル・リスク、③為替リスク)を勘案し、慎重に判断します。
大規模商業施設の特徴
大規模商業施設は、一般に、広い駐車場を備え、GMS(総合スーパー)や大型専門店等の核テナントと多くの専門店テナントにより形成されている商業集合体です。
核テナントと専門店テナントという商業の集積により品揃え・店揃えに幅を持たせ、さまざまな年代・客層のニーズに応えるとともに、モールと呼ばれるショッピングのための遊歩道を設け商業施設内の回遊性を高めて比較購買を可能にすることで、商業施設全体の集客力の向上を図っています。
最近では、「モノ消費からコト消費へ」と言われるように、核テナントとして映画館等のアミューズメント施設を導入したり、カルチャー教室やフィットネスクラブ等のコミュニティ施設を商業施設内に設けたりと、単にモノを買う場所から、レジャーやコミュニティの拠点として滞在して時間を楽しむという時間消費型の施設へと変化してきています。
大規模商業施設は、売場面積の広さゆえに区画運営に柔軟性を保てることから、消費者のライフスタイル・ニーズ等の変化に柔軟に対応できると考えています。このような大規模商業施設の特性を引き出す形で商業施設の大型化を図ることで、商業施設に付加価値をもたらし、競争力を向上させるものと考えています。
イオンリート投資法人の外部成長戦略
イオンリートとイオングループのウィン-ウィン(WIN-WIN)の関係に基づく成長戦略
イオングループは、大規模商業施設をはじめとする様々な類型の商業施設を開発から運営まで一貫して実施できる総合力を有しています。イオンリートは、この総合力を最大限活用することで、ポートフォリオの中長期的な成長を目指します。
イオングループによるサポート
イオンリートとイオンリートの資産運用会社であるイオン・リートマネジメントは、イオングループ各社との間でスポンサーサポート契約又はパイプラインサポート契約及びSCマネジメント契約若しくは物流施設マネジメント契約を締結し、イオンマレーシア社及びイオンビッグマレーシア社との間でマレーシア不動産投資に関する覚書を締結しています。
また、イオンとの間で商標使用許諾契約を締結し、イオンリートとイオン・リートマネジメントがそれらの事業を推進するに当たり、イオンの保有する商標を無償で使用することの許諾を受けています。
独自の外部成長戦略
イオン・リートマネジメントは、その役職員がイオングループにおいて、商業施設の開発・運営や取得に関与することで構築した独自の不動産ノウハウとネットワークを活用し、物件情報の収集を行い、商業施設をはじめとする優良資産を外部から取得する機会の確保を目指します。
また、イオングループ以外の運営者による物件についても、イオン・リートマネジメントは主体的に取得を検討し、さらに、実際の取得の際には、イオングループによる運営に切り替えて物件競争力と資産の価値の向上を図ることも併せて検討します。
物件売却方針
イオンリート投資法人は、中長期にわたって運用資産を保有し、安定収益を確保することを基本方針としているため、原則として、運用資産の短期的な売却は行わないものとします。但し、不動産マーケットの状況及びその分析等から勘案して、最適なポートフォリオの維持のために必要であると判断する場合には、運用資産の短期的な売却を検討することがあります。
売却に当たっては、不動産鑑定評価等の第三者意見を参考としつつ、マーケット調査、類似の取引事例、当該運用資産の将来にわたる収益性等を勘案した上で、ポートフォリオ全体が受ける影響等も考慮に入れて総合的に判断します。
イオンリート投資法人の内部成長戦略
中長期的に安定したキャッシュ・フローの創出~イオングループへのリース
イオンリートは、イオングループが運営する商業施設等の取得にあたり、イオングループ各社を借主(マスターレッシー)として建物全体を一括賃貸するマスターリース契約を締結することを基本方針とします。
マスターリース契約の締結により、キャッシュ・フローの中長期的な安定化、テナント退去リスクや賃料下落リスクの極小化を図ります。
マスターリース契約は以下の基本条件を原則とし、これらに準ずる範囲内で締結するものとします。
オペレーターとしてのイオングループの積極的な関与
イオンリートが投資対象とする商業施設等は、商業施設等の運営が資産価値に及ぼす影響が大きい性質の資産であると考えております。そのため、豊富な実績及びノウハウを有するイオングループとSCマネジメント契約及び物流施設マネジメント契約を締結することにより、イオンリートが所有する商業施設等の保有・管理において、イオングループの情報・ノウハウ等を積極的に活用することが可能な体制を構築します。
大規模商業施設における活性化投資(改装・増床)
大規模商業施設の競争力を維持・向上していくためには、施設の経年劣化や、顧客ニーズ、商圏人口、競争環境等の変化によってもたらされる商業施設としての魅力の低下(陳腐化)にどのように対応するかが非常に重要です。イオングループは、中長期的な視点から継続的・機動的な活性化投資を行い、SCのコンセプトを再構築しつつ、新しい魅力あるテナントの誘致、既存テナントの入替等の対策を実施しています。
また、イオングループは、大規模商業施設の開発に際し、可能な限り、後々の環境変化に対応するための増床余地を確保しています。営業状況が好調で更なる規模拡大を狙う場合や、強力な競合店舗の出現により競争力の強化が求められる場合等には、柔軟に増床余地を活用することで、商業施設としての競争力の維持・向上と、更なる成長を可能としています。
運用資産の安定収益確保のためのイオングループに対するエンドテナント出店の検討要請
イオンリートの運用資産の安定収益確保のため、イオンリートが保有し又は取得を検討している商業施設等について、イオングループ各社に賃借人としての出店の検討又はリーシングのサポートの提供を依頼した場合、これらの法人は、当該物件への賃借人としての出店又はリーシングのサポートの提供につき真摯に検討を行うこと、また、それらの一定のグループ会社に対しても検討させる旨、パイプラインサポート契約において合意しています。
大規模商業施設の競争力を高めるテナントリーシング
イオングループは、商業施設に入居するテナントを会員とする「イオン同友店会」というテナント組織を有しています。自らも小売事業を運営し、小売について高いノウハウを持つイオングループは、「イオン同友店会」の会員に対し、「店舗運営」「販売戦略」「売場作り」「人材育成」等の多面的な「テナントサポート(テナント営業支援)」を行っています。このような、「イオン同友店会」と充実した「テナントサポート」によって、多種多様なテナントと高い信頼関係を築き、強いリーシング力を実現しています。
イオンリート投資法人の財務戦略
エクイティ・ファイナンス | 投資口の追加発行は、長期的かつ安定的な成長を目指し、投資口の希薄化(新投資口の発行による投資口1口当たりの議決権割合の低下及び投資口1口当たりの純資産額又は分配金の減少)に配慮しつつ機動的に行います。 |
デット・ファイナンス | 借入れにあたっては、イオングループの信用力を活かし、メガバンクを中心としながら、借入金融機関の適切な分散を図ることを目指します。また、負債性の資金調達に際しては、マーケット環境及び本投資法人の財務状況等を総合的に勘案し、投資法人債の発行等を含む、直接金融・間接金融等の手法の多様化を図ります。 |
LTV水準 | LTVを50%前後の水準とし、その上限を60%として運用を行います。なお、運用資産の取得等により、短期的にそれらの数値を超えることがあります。 |
キャッシュ・マネジメント
大規模商業施設は、郊外立地が多いゆえに不動産価格に占める建物価格の割合が高く、加えて、オフィスビルや住居に比べ会計上の償却年数が短いことから、 減価償却費の不動産価格に対する割合が大きくなる傾向にあります。
イオンリートは、減価償却費相当額の内部留保資金をその時々の状況において最適に配分することで、資金効率を高め、キャッシュ・フローの安定化を図ります。 具体的には、以下の直接的・間接的な施策を通じて、中長期的な投資主価値の向上を図ります。
敷金・保証金の活用
イオンリートは、低コストかつ長期に安定した資金である、テナントから預託された敷金・保証金を有効活用します。また、諸々の資金ニーズ(修繕及び資本的支出、分配金の支払い、小口債務の返済、イオンリートの運営に関わる運転資金、敷金等の返還、不動産関連資産の新規購入等)に対応するため、融資枠等の設定状況を勘案した上で、妥当と考えられる金額を現預金として保有します。