2026年2月20日にジャパンエクセレント投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,000円のところ3,036円で着地しました。
大口テナントの退去は無いものの期末稼働率は98.3%

2025年12月期のジャパンエクセレント投資法人は、オフィス市場の回復を追い風に、資産入替によるポートフォリオの質的向上と賃料成長を中心とした内部成長の両面で着実な成果を上げました。外部成長では、低収益・低成長資産の売却と成長性の高い資産の取得を組み合わせる戦略的な物件入替を推進しました。具体的には、老朽化や低稼働により収益性が低下していた仙信ビルを売却するとともに、BIZCORE神保町の追加取得および浦和SHビルの取得を実施しました。また、前期に売却契約を締結していたJEI浜松町ビルの一部譲渡を完了し、資産の若返りと収益力向上を進めています。これらの取り組みにより、中長期的な成長を見据えたポートフォリオ改善を実現しました。
内部成長では、オフィス需要の回復を背景に賃料上昇を積極的に取り込んだことが大きな特徴です。東京都心部では新規供給の減少やオフィス環境改善需要の高まりを受けて賃料上昇基調が強まるなか、本投資法人は空室の埋め戻しに加え、既存テナントとの賃料増額交渉を推進しました。その結果、期末稼働率は98.3%と高水準を維持し、テナント入替時の賃料増額率は15.2%、賃料改定における増額割合は46.9%を達成しました。また、ポートフォリオ全体の賃料ギャップはマイナス4.6%となり、将来的な賃料上昇余地も大きく残されています。こうした取り組みによって既存物件の収益力が向上し、賃貸事業収入やNOIの拡大につながりました。
さらに、建物競争力の維持・向上に向けた修繕や設備更新も継続的に実施しました。インフレに伴う工事費上昇にも対応しながら、短期・中期・長期の視点で計画的な修繕投資を行い、テナント満足度と資産価値の向上に努めています。これらの成果により、当期の賃貸事業損益は前期比406百万円増加し、既存物件からの収益拡大が確認されました。
固定金利借入を原則としつつ、借入期間の長短で支払利息抑制を計画

財務面では、金利上昇局面においても安定した資金調達と財務健全性の維持を重視した運営が行われました。2025年12月期には、償還期限を迎えた投資法人債50億円を短期借入金で対応し、さらに長期借入金75億円については同額借換えを実施しました。また、物件売却代金を活用して前期に調達した短期借入金68億円を期限前返済するなど、有利子負債の圧縮にも取り組みました。これらの結果、総資産LTVは43.8%となり前期末から1.3ポイント改善し、時価ベースLTVも34.4%まで低下しました。有利子負債平均残存期間は4.2年、固定金利比率は77.3%を維持しており、将来の金利上昇リスクへの備えも進められています。
財務基盤の強化に向けては、格付機関である㈱日本格付研究所(JCR)から長期発行体格付AA-(安定的)を維持しており、高い信用力を背景に安定した資金調達体制を確保しています。また、140億円のコミットメントラインを維持することで流動性確保にも配慮しています。
サステナビリティへの取り組みも着実に前進しました。本投資法人は2030年度までにCO2排出原単位を2023年度比で42%以上削減し、2050年度のネットゼロ達成を目標に掲げています。保有物件ではLED照明への更新、省エネ性能の高い空調設備への改修、再生可能エネルギー由来電力への切替えなどを推進しました。2024年度実績ではCO2排出原単位が基準年度比16.7%削減されるなど、目標達成に向けた進捗も確認されています。
外部評価の面でも高い評価を維持しています。2025年のGRESBリアルエステイト評価では11年連続となる「Green Star」を取得し、「GRESB Rating」では「4 Star」を獲得しました。また、環境認証取得物件は29物件、賃貸可能面積ベースで87.5%に達しており、環境性能の高いポートフォリオ構築が進んでいます。さらに、TCFD提言に基づく情報開示やグリーンファイナンスの活用も継続しており、期末時点でグリーンボンドとグリーンローンを合わせた残高は409億円と、有利子負債の32.1%を占めています。
総括
2025年12月期のジャパンエクセレント投資法人は、賃料上昇局面を的確に捉えた内部成長と、収益性向上を目的とした戦略的な物件入替による外部成長を推進した一年となりました。特にオフィス市場の回復を背景に賃料増額が順調に進み、テナント入替時・契約更新時ともに高い増額成果を実現したことは、今後の収益成長を支える重要な成果といえます。
業績面では、営業収益は116億72百万円、NOIは71億4百万円となり、賃貸事業収益およびポートフォリオ収益力の向上が確認されました。当期純利益は43億50百万円、1口当たり分配金は3,036円となり、内部留保の積み上げも進展しています。加えて、含み益は795億円、含み益率は29.2%まで拡大しており、資産価値の向上も着実に進みました。
今後については、スポンサーである日鉄興和不動産㈱の豊富なパイプラインを活用した物件取得機会に加え、東京圏を中心としたオフィス賃料上昇の恩恵を引き続き享受できる環境にあります。本投資法人はEPU年平均2%以上の成長を目標に掲げており、継続的な賃料上昇の取り込み、資本コストを意識した物件入替、安定した財務運営、そして積極的なサステナビリティ施策を通じて、さらなる投資主価値の向上を目指していく姿勢を明確に示した決算であったといえるでしょう。
