日本ロジスティクスファンド投資法人は、日本初の物流REITとして、資産運用会社である三井物産ロジスティクス・パートナーズ㈱の経済・物流動向を見極める専門的能力と物流現場での知識や経験を活用しつつ、中長期的に安定した収益の確保と投資主利益の最大化を目指しています。
日本ロジスティクスファンド投資法人の概要
名称 | 日本ロジスティクスファンド投資法人 |
住所 | 東京都千代田区西神田三丁目2番1号 |
資産運用会社 | 三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社 |
資産保管委託会社 | 三井住友信託銀行株式会社 |
一般事務受託会社(会計事務) | 三井住友信託銀行株式会社 |
投資主名簿管理人 | 三井住友信託銀行株式会社 |
会計監査人 | EY新日本有限責任監査法人 |
決算期 | 1月・7月 |
日本ロジスティクスファンド投資法人のポートフォリオ戦略
投資地域
大消費地周辺及び物流の効率化ニーズに対応し得る国内の配送拠点として利便性の高いエリアに重点をおいて投資を行っています。
地域区分 |
主たる対象地域 |
投資比率 | |
首都圏 | 港湾部 |
品川区(大井等)、江東区(新木場、潮見、辰巳等)、大田区(羽田周辺等)、横浜市、川崎市、浦安市、船橋市 |
50~70% |
内陸部 | 国道16号線周辺、東京都多摩地区、埼玉県南部、神奈川県東部、千葉県北西部 | 30~50% | |
近畿地域 | 大阪湾岸部及び消費地に近接している内陸部で大阪市・阪神間・京阪間・近畿道周辺 | ||
中部地域 | 名古屋港エリア、小牧市、春日井市、豊田市 | ||
九州地域 | 福岡市 | ||
その他 | 消費地に近い等、立地的優位性が確保できる地域 | 5~10% |
投資比率は中長期的な数値であることから、その達成が約束されるものではなく、また、今後の資産取得の過程で当該数値どおりにならない場合もあり得ます。
物流施設のタイプ
従来の保管型物流施設に加えて、少量多品種物流への対応が可能な施設や荷物の短時間滞在を想定した施設等の高機能型物流施設を投資対象としています。
施設タイプ | 用途 |
消費者物流対応型 | 消費地向けTC/DC物流センター |
定温・定湿管理機能・路線業者用基幹ハブや集配地域をカバーした配送センター | |
宅配・通信配牌・路線業者用基幹ハブや集配地域をカバーした配送センター | |
生産者物流対応型 | 港湾・空港周辺のゲートウェイに立地する輸出入物流センター |
製品ストック・配送拠点型物流センター | |
その他 | 航空貨物取扱エクスプレス・センター |
文書保存/貴重品/データ保存セキュリティ機能を備えたトランクルーム |
TC(Transfer center)/DC(Distribution Center)型物流センターとは、在庫を前提としない又は短期間の在庫を前提とした物流センターをいいます。
重点評価項目
物流施設としての特性に着目し、重点評価項目について以下の調査を行っています。
テナント | ・テナントの信用状況、業種、業況トレンド |
立地 | ・継続的な使用の見込み |
・賃料水準、賃貸借条件 | |
・消費地、生産地への近接性 | |
・高速道路及び主要道路へのアクセス | |
・港湾、空港、鉄道コンテナ駅、トラックターミナルへのアクセス | |
・接道状況 | |
・労働力確保の容易性と通勤利便性 | |
・周辺環境(自然環境、夜間操業の可否や物流立地としての将来性) | |
・都市計画等 | |
規模 | ・延床6,000㎡以上の施設 |
建物の状況 | ・耐震性 |
・主要施設 | |
・設備 | |
・汎用性 | |
築年数 | ・中長期の安定運用に耐え得るもの |
土壌 | ・土壌汚染対策法、環境関連法令、各地方自治体の条例などに従って適切に処理されているもの |
権利関係 | ・共有物件及び区分所有物件 |
・信託受益権を準共有する物件 | |
・借地物件 | |
・担保権、用益物件付着物件 | |
・底地物件 |
日本ロジスティクスファンド投資法人の外部成長戦略
「資産価値」の増大を目指す取得戦略
日本ロジスティクスファンド投資法人は、投資主価値の向上を第一に運用を行っており、日本初の「物流REIT」として培った物件の「目利き力」を活用し、物件の質・価格・取得時期に拘った投資を行うことによりポートフォリオの「資産価値」の増大を目指しています。
1口当たり分配金の安定を成長のための取得戦略
日本ロジスティクスファンド投資法人では、相対取引や取得機会の自律的創出による「独自の取組み」と市場での入札による「不動産売買マーケットでの取組み」という2つのアプローチを組み合わせて、物件取得に取り組みんでいます。
「独自の取組み」は相対的に高い利回りの確保を目指すものであり、1口当たり分配金の成長に資する取り組みです。一方、「不動産売買マーケットでの取組み」は資産規模の拡大を目指すものであり、1口当たり分配金の安定に資する取り組みです。この2つのアプローチを組み合わせることにより、資産規模の拡大と相対的に高い利回りでの物件取得をバランスよく達成することが可能になるとしています。
「独自の取組み」
「独自の取組み」による取得案件は、事業スキームを工夫することで収益性の高い物件としてポートフォリオに組み入れられることが期待できます。
これまで培った資産運用会社の知見を活用することで、相対取引の推進及び取得機会の自律的な創出を行い、市場からの取得に比べて高い利回りでの取得を目指しています。
「不動産売買マーケットでの取組み」
「不動産売買マーケットでの取組み」は市場からの競争入札を通じた取得です。立地や建物仕様等、個別の不動産の特性等に基づき「適正な価格」で優良な物件を取得することにより、資産規模の拡大による1口当たり分配金の「安定性」と「成長性」を実現に取り組んでいます。
物件売却方針
不動産関連資産を中長期的観点から保有するものとし、短期的にこれらを売却しないものとします。ただし、ポートフォリオ全体の構成、物流ニーズの変化、個別物件の状況、収益性の見通し、周辺環境の変化等を総合的に判断した結果、売却がポートフォリオの収益の安定に資するものと判断される場合には、適切な時期及び機会での売却を検討することがあります。
日本ロジスティクスファンド投資法人の内部成長戦略
資産価値最大化に向けた「OBR」戦略
OBR戦略とは(Own BOOK Redevelopment)の略称で「REIT自らが行う保有物件の再開発と定義しています。
OBRの効果
・開発利益の「外部流出」を回避
・大規模物件への転換による資産価値の最大化
・賃貸可能面積の増加によるポートフォリオ収益力の向上
OBRの実施基準
日本ロジスティクスファンド投資法人の特長でもあるOBRの実施にあたっては、4つの実施基準を設けています。
①優良立地であること
立地優位性が高く、OBRを実施した後においても、高い競争力を維持することが見込まれること。
②築年数の経過等により建物簿価が低いこと
築年数の経過により減価償却が進んでいる、建物が小規模である等の理由によって、OBRを実施しても解体工事に伴う固定資産除却損が分配金に与える影響が小さいこと。
③未消化容積率が大きいこと
未消化容積率が大きいため、OBRの実施によって延床面積の大幅な増加が見込めること。
④市場で収益物件として取得するより 高い利回りが期待できること
不動産流通市場で新規に物件取得を行うよりもOBRの実施の方が高い収益性を確保することができると見込まれること。
運用管理方針
①リーシング
三井物産株式会社の協力を得て、三井物産アセットマネジメント・ホールディングス株式会社を中心に、各地域の物流施設・テナント情報に精通した仲介会社とのネットワークを築くことにより、スペース需要・賃料水準の把握とリーシング力の強化を図ります。また、リーシングに際しては、テナントの業種、取扱商品や上記諸要因を総合的に勘案して、中長期安定運用の基本方針に沿って判断します。
②賃貸借契約の更改
テナントとの賃貸借契約の更改に当たっては、ポートフォリオ全体の契約条件等を念頭において、テナントの与信状況を踏まえ適正な賃料水準、契約期間、その他条件を設定して契約更改を行います。既存テナントへの中長期的な賃貸を基本方針とします。
③テナントリレーション
テナントと継続的なコミュニケーションを図り、テナントの動向やニーズを把握して適切かつ迅速な対応策を実施することで、テナントの満足度向上と信頼関係の構築を図り、安定的な収入の確保を行います。
④バリューアップ
運用不動産の物理的・機能的価値の維持向上及びテナントの満足度向上を図るため、大規模修繕、リニューアル、増床・増築及び建替えを実施します。工事実施に当たっては、ポートフォリオ全体の収支安定性を確保するために、工事費用の平準化に留意するとともに、一定期間テナントの退去が必要になることによるキャッシュ・フローの変動が、投資法人のポートフォリオ全体に過大な影響を与えないよう留意します。
大規模修繕 | 運用不動産の取得に際して策定した大規模修繕計画に基づいて、建物の経年劣化への対応、機能維持を目的とした設備機器の修繕・更新を行います。 |
リニューアル | テナントの施設用途に対応した機能、快適性を向上させるために、事務所スペースのOAフロアへの変更、情報通信インフラの整備、作業員休憩室の設置、外壁・外構の美観整備等のリニューアルを実施します。 |
増床・増築及び建替え | テナントの要請、施設の賃貸借ニーズ、容積率の消化状況等を考慮して、物件の増床及び増築を適宜実施することにより、収支条件の改善を図ります。また、賃貸マーケットにおいて立地優位性があり、建物・設備更新により競争力向上が見込まれる場合や経年劣化に伴い維持管理コスト負担が経済合理性に見合わないと判断される場合は、必要に応じて建替えを行います。 |
日本ロジスティクスファンド投資法人の財務戦略
日本ロジスティクスファンド投資法人は、日本で唯一投資口の発行による資金調達のみ(無借金)で上場を果たしたJ-REITです。日本ロジスティクスファンド投資法人は「分配金の安定と持続的成長」という目標達成のため、強固な財務基盤の構築に向けた資金調達手段を選択する方針としています。
エクイティ・ファイナンス | 資産の取得や修繕等、本投資法人の運営に要する資金、又は債務の返済(敷金及び保証金並びに借入金及び投資法人債の債務の返済を含みます。)等の資金手当てを目的として新投資口の発行を機動的に行います。新投資口の発行については、負債割合等の本投資法人の財務状態を考慮し、投資口の希薄化にも配慮の上、決定します。 |
デット・ファイナンス | 安定した収益の確保及び運用資産を着実に成長させることを目的として資金の借入れ又は投資法人債の発行を行うことがあります。かかる借入れ及び投資法人債により調達した金銭の使途は資産の取得、修繕、分配金の支払、投資法人の運営に要する資金又は債務の返済(敷金及び保証金の返還並びに借入金及び投資法人債の債務の返済を含む。)等とします。デットファイナンスの実行に当たっては、資本市場、金融環境及び本投資法人の資本構成やテナントとの賃貸借条件、既存投資主への影響等を総合的に考慮し、将来にわたる経済・社会情勢の変化を予測の上、長期・短期の借入期間及び固定・変動の金利形態といった観点から効率的な資金調達手段を選定します。 |
LTV水準 | LTV上限については60%を目処としますが、新たな資産の取得等に伴って一時的に負債割合が60%を超えることがあります。なお、当面の間は財務の健全性及び将来の成長余力を確保するため、より低い負債割合を保ち、保守的な運用を行います。 |
キャッシュマネジメント・ポリシー
日本ロジスティクスファンド投資法人が投資対象とする物流施設は取得価格に占める建物割合が高いことから、オフィスビル等のアセットに比べて減価償却費として計上される金額が多くなる傾向があります。
日本ロジスティクスファンド投資法人は以下のキャッシュマネジメントポリシーに基づき、減価償却費相当の内部留保等の現預金を戦略的に活用する方針を採っています。
日本ロジスティクスファンド投資法人のキャッシュマネジメント・ポリシーでは、以下の優先順位で手元現預金を活用します。
①強固な財務基盤の維持やポートフォリオのメンテナンス
②OBRや新規物件への投資
③投資主還元(自己投資口取得)
したがって、投資口価格が著しく割安であり、余剰なキャッシュがある場合には、上記のキャッシュマネジメント・ポリシーに沿って、毎期継続的に自己投資口の取得を検討します。
利益超過分配
日本ロジスティクスファンド投資法人は、以下の2つの場合に利益超過分配を実施し、それ以外の場合には原則として利益超過分配を行わない方針です。
①OBRを実施するにあたり、固定資産除却損その他の会計上の損失が発生し、分配金の金額が大幅に減少することが見込まれる場合に、分配金の総額を平準化するため。
②投資法人の利益が配当可能利益の100分の90に相当する金額に満たない場合に、本投資法人にかかる課税の特例規定における要件を満たすため。
自己投資口取得
資本効率の向上及び投資主還元のため、資本政策の一環として自己の投資口の取得及び消却を行うことを、必要に応じて検討していきます。検討にあたっては、中長期的な投資主価値の向上という観点を特に重視するとともに、投資口価格の水準、財務状況、市場環境等を総合的に勘案し、実施の判断を行います。