2026年8月25日にインヴィンシブル投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が1,895円のところ1,930円で着地しました。
ホテル収益の成長力を磨き上げるポートフォリオ戦略

2026年6月期のインヴィンシブル投資法人は、国内外の宿泊需要を取り込みながら、ホテルを中核としたポートフォリオの収益力向上に取り組みました。当期末の運用資産は156物件、取得価格総額は6,841億円となり、このうちホテルは114物件、取得価格ベースで6,433億円と、J-REIT市場における最大規模のホテルポートフォリオを維持しています。
外部成長では、当期中に新規物件の取得や譲渡は行わなかったものの、2025年に取得したホテル群の収益寄与が本格化しました。また、「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」を裏付資産とする優先出資証券について、一部償還を受けることで資本効率の向上も図っています。さらに、将来の成長戦略として、2029年までにDPU年平均3%以上の成長を目標に掲げ、内部成長を主軸としながら、物件入替や含み益の活用による投資主価値向上を目指す方針を打ち出しました。
内部成長では、国内ホテルポートフォリオが堅調な成果を示しました。主要テナントであるアイコニア・ホスピタリティが運営する国内ホテル101物件では、RevPARが前年同期比1.6%増、売上高が同3.0%増となりました。大阪・関西万博需要の反動減や中国からの訪日旅行者減少の影響を受けながらも、韓国、台湾、米国などからのインバウンド需要が補完し、全体として底堅い成長を維持しています。関西エリアを除くホテルではRevPARが5.3%増、GOPが6.6%増となり、ホテル運営力の高さが際立つ結果となりました。
住居ポートフォリオでも着実な成長を実現しています。当期末の稼働率は97.6%、期中平均稼働率は97.3%となりました。新規契約の72.8%、更新契約の63.4%で賃料増額を実現し、住居全体のNOIは前年同期比1.8%増加しました。賃貸需要の強さを背景に、安定した収益基盤を形成しています。
財務基盤の強化とサステナビリティ推進

財務面では、金利上昇環境に対応しながら安定した資金調達を継続しました。当期は約153億円のリファイナンスを実施し、借入条件の改善と返済期限の分散を進めています。2026年5月には格付が1ノッチ引き上げられ、JCRはAA-(安定的)、R&IはA+(安定的)となりました。これにより資金調達力が一段と向上しています。
当期末の有利子負債残高は3,486億円、有利子負債比率は49.2%、LTV(鑑定評価ベース)は41.9%となりました。固定金利比率は約60%水準を維持しながら、金利スワップを活用した金利上昇リスクの低減にも取り組んでいます。
業績面では、営業収益267億8,900万円、当期純利益147億2,900万円を計上しました。1口当たり分配金は1,930円となり、前年同期比1.8%増加するとともに、2025年12月時点の予想を35円上回りました。6月期としては、2010年の現商号への変更以降で最高水準となっています。
サステナビリティへの取り組みでは、環境認証取得率が大幅に向上しました。2026年6月末時点での環境認証取得率は延床面積ベースで55.6%となり、前年同期から5.7ポイント上昇しています。また、グリーンリース締結率も82.9%まで拡大し、環境配慮型運営を推進しています。
さらに、GRESBリアルエステイト評価では3年連続で「3スター」を取得し、CDP気候変動プログラムでは「B」スコアを獲得しました。グリーンファイナンス残高も569億円まで増加し、有利子負債全体に占める割合は16.3%へ上昇しています。
ホテル特化型REITとして次の成長ステージへ
2026年6月期は、外部環境の逆風がありながらも、ホテル運営力と資産運用力によって成長を維持した期となりました。大阪万博需要の剥落や中国人旅行者の減少という厳しい要因があったにもかかわらず、国内外の幅広い宿泊需要を取り込み、国内ホテル101物件の売上高増加と住居ポートフォリオの収益向上を実現しています。
また、戦略的CAPEXによるホテル競争力向上も進展しています。沖縄ハーバービューホテルやヒルトン東京お台場、ヒルトン福岡シーホークなどで大型改装を進めることで、高単価顧客の獲得や収益性向上を目指しています。オリエンタルホテルシリーズを中心としたリブランド戦略も引き続き成果を生み出しており、取得後のNOI利回り向上が確認されています。
今後は、インバウンド需要の中長期的な拡大、ホテル供給の限定化、戦略的CAPEXによる収益力向上を背景に、2029年までにDPU年平均3%以上の成長を目指しています。内部成長を主軸としながら、物件入替や含み益の活用も組み合わせることで、ホテル特化型REITとしてさらなる投資主価値向上が期待されます。
