2026年1月16日にアクティビア・プロパティーズ投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が8,700円のところ8,731円で着地しました。
広域渋谷圏を核にした成長加速と資産入替の本格化

2025年11月期のAPIは、内部成長の進捗が顕著となり、EPUが予想比3.8%上振れで着地しました。オフィス・商業・ホテルの各アセットで賃料成長が進み、とりわけ広域渋谷圏ではスポンサーである東急不動産のリーシング協力が奏功し、複数物件で最高賃料を更新するなど、エリア全体の賃料水準を押し上げる動きが鮮明となりました。渋谷圏の需給はタイトで、改定時・入替時の増額率が大幅に上昇し、賃料ギャップは▲15%まで拡大しています。APIは契約期間の短期化を進め、賃料増額機会を積極的に確保する運用へと舵を切りました。
商業施設では、東急プラザ表参道「オモカド」で路面区画の賃料が大幅に増額し、区画入替により最高賃料を更新しました。さらに2026年4月には中層階のリニューアルを予定し、コト消費を取り込むテナント構成への転換を進めています。広告収入や歩合賃料も増加傾向にあり、都市型商業施設としての価値向上が継続しています。デックス東京ビーチでも歩合賃料が増加し、東京都の大型プロジェクト「ODAIBAファウンテン」と連動したリニューアルにより、さらなる需要取り込みを図っています。
ホテルでは、3物件合計のRevPARが前年同月比121%と大きく伸長しました。札幌ではコンサート需要や航空便増加の追い風を受け、歩合賃料の想定を引き上げています。さらに、2026年5月期に取得を想定する「ネストホテル那覇久茂地」の優先交渉権を確保し、ホテル領域でのアップサイド獲得に向けた動きを強めています。
外部成長では、神戸旧居留地25番館の4期分割売却を決定し、売却益の積み上げを通じてDPU成長力を高める戦略を明確化しました。売却資金はホテル取得に充当する方針で、ポートフォリオの10%程度の資産入替を段階的に進めることで、償却後NOIの成長率を年平均3.2%へ上方修正しています。
安定した財務基盤と環境負荷低減の両立

財務面では、返済期日到来に伴う借換えを実施し、19,700百万円の借入を行いました。結果として当期末の有利子負債残高は264,848百万円となり、LTVは47.2%と想定レンジ(40〜50%)内で安定的に推移しています。平均残存年数は3.8年、固定金利比率は88.4%と、金利上昇局面に配慮したバランスの取れた負債構成を維持しました。借入先は21社に分散され、コミットメントライン210億円を確保するなど、機動的な資金調達体制を整えています。
サステナビリティでは、環境負荷低減に向けた取り組みを継続し、霞が関東急ビルでのLED化工事により電力使用量を約70%削減、恵比寿プライムスクエアのトイレ改修で水使用量を約55%削減するなど、具体的な改善を進めました。グリーンビル認証の取得は38物件に達し、延床面積ベースで83.7%を占めています。再生可能エネルギー電力の導入も進捗し、2025年11月時点で利用率は82%まで上昇しました。
外部評価では、GRESBリアルエステイト評価で「4stars」、CDP気候変動で「B」評価を獲得し、ESG対応の高度化が評価されています。さらに、気候変動イニシアティブ(JCI)の「気候変動アクション日本サミット2025宣言」に賛同し、脱炭素社会への移行をリードする姿勢を明確にしました。
内部成長を核に、資産入替とESGで持続的成長を描く期
2025年11月期のAPIは、内部成長の強さが際立った期となりました。広域渋谷圏を中心としたオフィス・商業の賃料増額、ホテルの収益改善が進み、EPUは予想を上回る水準で着地しました。さらに、資産入替の本格化により売却益の積み上げが進み、DPU成長率の見通しを年率3%以上へ上方修正するなど、投資主還元の強化が明確に示されました。
財務面では安定したLTV管理と分散された資金調達により、金利上昇環境下でも堅実な財務運営を維持しています。サステナビリティでは環境負荷低減、グリーン認証取得、再エネ導入、外部評価の向上など、ESGの各領域で着実な成果を積み上げました。
総じて、APIは「内部成長の深化」「資産入替による収益力強化」「ESG対応の高度化」という三本柱を同時に進めることで、2029年5月期までのEPU年平均成長率2%以上という目標の蓋然性を高めています。今期はその成長戦略が具体的な成果として表れた節目の期であり、今後もポートフォリオの質向上と持続的な投資主価値の最大化に向けた取り組みが続く見通しです。
