2025年1月19日に平和不動産リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,750円のところ3,850円で着地しました。
資産回転型戦略と賃料成長が同時に進展した期

当期は、平和不動産グループのパイプラインと市場環境を捉えた外部成長が着実に進みました。2025年6月の公募増資後、借入余力を活用してオフィス1棟、レジデンス2棟を取得し、取得価格は合計118.1億円となりました。具体的には「HF京町堀ビルディング」「ルーシッドスクエア船場」などのオフィス物件に加え、「HF曳舟レジデンスEAST」「HF大森レジデンス」などのレジデンス物件を取得し、ポートフォリオの収益性と成長余地を拡大しています。一方で、資産回転型戦略に基づき「HF浜松町ビルディング」「HF東新宿レジデンス」を譲渡し、譲渡益は21.3億円と17期連続での計上となりました。含み益を顕在化させながら、成長資金と投資主還元原資を確保する姿勢が明確に示されています。
内部成長面では、オフィス・レジデンス双方で賃料増額改定が過去最高水準となり、賃料収入年成長率は3.3%へと大きく伸長しました。オフィスのネット賃料変動率は18.5%、レジデンスは8.1%と高い改定率を記録し、ポートフォリオ全体の賃料増額は期当たり138百万円に達しています。稼働率も安定的に推移し、期中平均稼働率は97.5%、特にオフィスは99.1%と極めて高い水準を維持しました。さらに、専有部のセットアップオフィス化やレジデンスの設備更新など、短期回収型のバリューアップ投資を積極的に進め、平均ROIは13.2%と高い成果を上げています。こうした内部成長の積み上げにより、賃料ギャップは-7.8%まで拡大し、今後の賃料増額余地も確保されています。
安定した資本構成と環境対応の深化

財務面では、公募増資と借入の最適化により、健全な財務基盤を維持しました。2025年6月の公募増資では発行価額総額約64.3億円を調達し、LTVを保守的に管理しながら外部成長を進めています。期末の平均借入期間は7.2年、平均残存期間は4.1年、固定金利比率は70.6%と、金利上昇局面でも安定した財務運営が可能な構造を維持しました。平均借入金利は1.19%で、有利子負債は128,370百万円となっています。格付についてはJCRより「AA−(安定的)」を維持し、資産規模の拡大と内部成長の継続により、将来的な格上げを目指す姿勢が示されています。
サステナビリティ対応では、環境負荷低減に向けた取り組みが大きく進展しました。ポートフォリオのGHG排出量(Scope1・2)は2018年比で90.9%削減と、2030年目標の「90%削減」を既に達成しています。全物件で再生可能エネルギー由来電力への切替が完了し、LED化もほぼ全物件で完了しました。さらに、レジデンス専有部の電気量計測システム導入や、EV充電器・デジタルサイネージの設置など、環境配慮型の設備投資を継続しています。外部評価では、GRESBで2年連続「3スター」、Sustainalytics ESG Risk Ratingsで「15.5(Low Risk)」を獲得し、国際的な評価も高まっています。社会面では地域清掃活動や個人投資家向けIRイベントの実施、ガバナンス面では上席執行役員制度の導入など、組織運営の高度化も進めています。
資産回転と内部成長が結実し、20期連続増配を達成した期
2025年11月期は、外部成長・内部成長・財務運営・サステナビリティの各領域が連動し、投資主価値の向上が明確に示された期となりました。資産回転型戦略により譲渡益を確保しつつ、賃料増額改定と高稼働による内部成長が進展し、賃貸EPUは2,681円と安定的に推移しました。内部留保の活用と譲渡益の顕在化により、投資主還元を強化し、分配金は3,950円と20期連続の増配を達成しています。資産規模は2,561億円へ拡大し、NEXT VISION II+で掲げる「資産規模3,000億円」「分配金4,200円」の達成に向けた進捗が着実に進んでいます。
また、賃料ギャップの拡大やバリューアップ投資の高いROI、共有持分の追加取得による完全保有化など、将来のキャッシュフロー成長を支える基盤が強化されました。サステナビリティではGHG削減目標を前倒しで達成し、環境認証の取得率も43.2%に達するなど、ESG対応がポートフォリオ価値の向上に直結しています。財務面では長期・固定化を重視した調達戦略により、金利上昇局面でも安定した分配金の維持が可能な体制を整えています。
総じて、当期は「資産回転による成長資金の確保」「賃料増額による内部成長」「財務の安定性」「ESG対応の深化」が同時に進展し、平和不動産リート投資法人が掲げる“Steady Growth & Sustainable Profit”を体現した期であったと言えます。
