2026年9月17日に産業ファンド投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が4,000円のところ4,094円で着地しました。
CRE戦略を起点とした資産入替でポートフォリオの成長力を強化

2026年7月期は、産業用不動産に特化した強みを活かしながら、CRE提案を起点とする物件取得と戦略的な資産入替を推進した期となりました。物流施設、工場・研究開発施設、インフラ施設を対象とする独自の投資戦略のもと、資産規模は取得価格ベースで5,168億円まで拡大し、匿名組合出資持分を含めた総投資額は5,357億円に達しています。
外部成長では、大手物流企業グループとの初のCRE案件として、名古屋および静岡の物流施設を取得したほか、高機能材料メーカーグループとのCREカーブアウト案件第二弾として物流加工施設の底地2物件を取得しました。さらに、共同底地ファンドを活用した底地物件の譲渡と匿名組合出資持分の取得を実行し、保有資産の入替を進めています。これらの取り組みにより、インフレ対応型契約を有する物件比率を高めるとともに、売却益を創出しながら成長性の高い資産への入替を進めました。
内部成長においては、ポートフォリオ全体の稼働率98.9%という高い水準を維持しながら、賃料増額や契約条件改善に取り組みました。物流施設では契約更改を通じて賃料増額を実現し、工場・研究開発施設ではリテナントとの協働による収益改善を進めています。特に湘南ヘルスイノベーションパークでは、リーシング活動や水光熱費のパススルー化を進めた結果、今後大幅なNOI成長が見込まれています。また、市原の大型工業用地では新たなテナント誘致を通じて賃料増額とCPI連動条項の導入を実現し、将来の収益拡大基盤を整えました。
強固な財務基盤と環境価値向上を両立する運営

財務面では、金利上昇局面に対応しながらも、安定性と柔軟性を両立する資金調達を継続しました。当期末の有利子負債残高は2,976億円、時価LTVは42.3%、簿価LTVは52.2%となっています。長期借入金比率は97.5%、固定金利比率は89.5%を維持し、平均適用金利も0.96%に抑えられています。また、借換えにあたっては市場環境を踏まえながら期間や金利条件を調整し、将来的な財務運営の柔軟性を高めました。
今後については、売却資金を活用した借入金返済やLTVの低下を進める方針です。さらに、物件取得や匿名組合出資など多様な投資手法を活用しながら、収益成長と財務健全性の両立を目指しています。資産入替を進めることで含み益を顕在化し、投資主還元と資産成長の両方に活用する戦略も特徴的です。
サステナビリティへの取り組みでは、環境負荷低減と収益向上を両立する施策が進展しました。物流施設においてオンサイトPPA方式による太陽光パネルを導入し、テナントの電力コスト削減と温室効果ガス排出量削減を実現するとともに、建物賃料の増額にもつなげています。この取り組みにより、年間約45%のGHG排出量削減効果が見込まれています。
また、LED照明の導入や設備更新による省エネルギー化も進めており、環境対応を通じた収益機会の創出に取り組んでいます。ガバナンス面では、役員会による継続的なモニタリングや法令遵守体制の強化を進めており、透明性の高い運営を維持しています。
インフレに強い産業用不動産ポートフォリオへの進化
2026年7月期は、売却益の活用と資産入替を通じて、ポートフォリオの収益力と成長力を高めた期となりました。営業収益は234億円、当期純利益は99億円を計上し、1口当たり分配金は利益超過分配を含め4,094円となっています。また、含み益は1,331億円に達し、1口当たりNAVも145,920円まで上昇しています。
今後は、約750億円の取得パイプラインと700億円超の売却パイプラインを活用しながら、インフレ耐性の高い物流施設や工場・研究開発施設を中心としたポートフォリオへの転換を加速する方針です。特にCPI連動賃料や賃料増額余地を持つ資産の割合を高めることで、金利上昇環境下でも安定的な収益成長を実現することを目指しています。
加えて、ハイパースケール型データセンターへの投資検討や、パフォーマンス連動型運用報酬の導入など、新たな成長戦略にも着手しています。産業用不動産に特化した専門性とCRE提案力を活かしながら、収益拡大と投資主価値向上を両立させる体制を一段と強化した決算であったといえます。
