2026年4月17日に野村不動産マスターファンド投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,624円のところ3,634円で着地しました。
尚、利益超過分配金522円が含まれています。
総合型REITの強みを生かした資産入替と成長戦略の深化

2026年2月期の野村不動産マスターファンド投資法人は、総合型REITとしての強みを生かしながら、外部成長と内部成長の両面で着実な成果を積み上げました。当期末のポートフォリオは285物件、取得価格総額約1兆996億円となり、東京圏比率83.2%という東京圏中心の大型ポートフォリオを維持しています。
外部成長では、運用効率の向上を目的とした資産入替を継続しました。2026年8月期に向けて、修繕費増加が見込まれる築古オフィスを売却し、東京圏に立地する築浅の商業施設「GEMS立川」と居住用施設「プラウドフラット清澄通り」を取得しています。売却資産は平均築年数33年、取得資産は平均築年数1年と大幅な若返りが図られ、収益性や将来成長性の向上につながるポートフォリオ再構築を進めました。さらに直近3年間では取得697億円、売却847億円の資産入替を実施し、148億円の売却益を創出しています。
内部成長では、全セクターで収益改善が進みました。オフィスセクターでは賃料ギャップ16.0%を背景に、テナント入替による賃料増額率13.6%、賃料改定による増額率4.5%を実現しています。特に新宿野村ビルでは大型テナント退去後のリーシングが順調に進み、契約・申込済面積は約2,000坪に達しました。
物流施設では満床稼働を維持しながら、再契約時の賃料増額率が13.8%や15.2%に達する案件もみられました。また、CPI連動条項の導入を進めることで、インフレ環境下での収益成長基盤を強化しています。
住宅セクターではさらに顕著な成果を上げました。テナント入替時の賃料上昇率は15.6%と過去最高を更新し、更新時の賃料上昇率も1.9%まで拡大しました。都心3区では入替時賃料上昇率が23.6%に達し、賃料単価は前年比3%を超えるペースで成長しています。商業施設やホテルも堅調で、ホテルでは変動賃料が大幅に増加し、商業施設では再契約やテナント入替による賃料増額を継続しています。
安定財務と環境対応を両立する運営基盤

財務面では、金利上昇局面への対応を進めながら安定した資金調達基盤を維持しました。当期は277億円のリファイナンスを実施し、期末有利子負債残高は5,222億円、LTVは44.3%となりました。JCRからAA、R&IからAA-という高い格付を維持しており、財務健全性の高さが評価されています。
また、借入コスト上昇局面にありながらも、平均借入金利は0.93%に抑制されています。変動金利の柔軟活用や借入期間の調整を行うことで、金利上昇の影響をコントロールする方針を示しています。加えて、借入先は40近い金融機関に分散されており、資金調達基盤の安定性も確保されています。
業績面では、営業収益411億円、経常利益133億円、当期純利益133億円を計上しました。当期は売却益の減少があったものの、賃貸収益の増加や内部成長による収益向上が寄与し、1口当たり分配金は3,634円となりました。前期比では2.6%の増配となり、内部成長の成果が分配金へ反映されています。
サステナビリティ面では、2019年に定めたマテリアリティに基づき、低環境負荷ポートフォリオの構築を継続しています。グリーン認証取得率は65.8%まで向上し、2030年度目標である70%達成へ着実に近づいています。また、2050年GHG排出ネットゼロを見据え、2030年度までに温室効果ガス排出量を2019年度比80%削減する目標を掲げています。
環境認証取得や省エネ設備導入に加え、ESG評価でも高い水準を維持しています。GRESBリアルエステイト評価では4スターを取得し、Green Starも獲得しました。また、グリーン認証取得物件の拡大や環境データの第三者保証取得など、透明性の高いESG経営を推進しています。
分散ポートフォリオの強みを生かした持続的成長へ
2026年2月期は、総合型REITならではの分散ポートフォリオの強みが発揮された期となりました。オフィス、物流、住宅、商業、ホテルの各セクターで異なる成長機会を取り込みながら、NOIは284億円まで拡大し、借入コスト増加を上回る収益成長を実現しています。
特に住宅、物流、ホテルの内部成長は顕著であり、賃料上昇や変動賃料増加がポートフォリオ全体の収益力向上を支えました。また、築古物件の売却と築浅・高収益物件の取得を組み合わせた資産入替戦略により、ポートフォリオの若返りと成長性向上も進展しています。
今後も野村不動産グループの豊富なパイプラインを活用しながら、年間200億円から300億円規模の資産入替を継続し、内部成長と外部成長の両立による分配金成長を目指す方針です。総合型REITとしての分散効果と東京圏への集中投資を両立させながら、中長期的な投資主価値向上に向けた取り組みを進めていくことが期待されます。
