2026年3月18日にスターアジア不動産投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が1,745円のところ1,769円で着地しました。
ホテル比率拡大で描く次世代ポートフォリオ戦略

2026年1月期のスターアジア不動産投資法人は、新たな中期計画を策定し、2030年までに1口当たり分配金1,913円以上、資産規模5,000億円を目指す成長戦略を打ち出しました。この新たな目標のもと、収益性と成長性の向上を目的とした戦略的な資産入替を推進しています。
外部成長では、「KOKO HOTEL 名古屋栄」と「KOKO HOTEL 仙台駅前 West」の2ホテル、およびホテル4物件を裏付け資産とするメザニンローン債権への投資を実施しました。取得価格総額は約78億円となり、ホテル2物件はいずれも取得時の想定を上回る収益を計上し、早期から収益貢献を実現しています。特にホテルはインフレ耐性が高い資産と位置付けられており、ホテル比率は前期末の37.5%から40.3%へ拡大しました。
一方で、ポートフォリオの質向上を目的として、郊外型商業施設であるラパーク岸和田と区分所有住宅の白井ロジュマンを売却しました。いずれも今後の成長余地やライフサイクルコストを慎重に検証した結果、資産入替が中長期的な投資主価値向上につながると判断したものです。売却価格はいずれも鑑定評価額を上回り、売却益を実現しました。
内部成長では、ホテル、オフィス、住宅の各アセットが着実に収益向上へ寄与しました。ホテルについては、ポラリスが運営する16ホテルを中心に宿泊需要を取り込み、ホテル賃料収入は当初予想を10.7%上回りました。オフィスでは賃料ギャップ解消に積極的に取り組み、新規契約や契約更新を通じて月額4,423千円の賃料増額を実現しています。住宅でも賃料増額総額は月額3,011千円となり、契約更新時の増額応諾率は71.4%と高い水準を維持しました。こうした取り組みにより、売却益を除く1口当たり当期純利益は過去最高となる1,668円を達成しています。
金利上昇時代に対応する財務運営とESG推進

財務面では、金利上昇環境を意識しながらも、安定性と柔軟性を両立した運営を進めました。当期には総額186億円超の借換えや新規借入れを実施し、有利子負債残高は1,388億円となりました。LTVは47.3%と適切な水準を維持しており、財務規律を保ちながら成長資金を確保しています。
また、変動金利と固定金利を戦略的に組み合わせる方針を採用し、金利スワップによる固定化も活用しています。金利上昇によるコスト増加はあるものの、ホテルやオフィス、住宅の内部成長による収益拡大がそれを上回る構造を目指しています。これにより、金利上昇局面においても分配金成長を継続する方針を明確にしています。
サステナビリティの面では、環境目標に基づく取り組みを着実に進展させました。保有物件においてLED化や空調設備の高効率化、省エネルギー改修工事などを実施し、環境負荷低減と資産価値向上を両立しています。また、省エネ設備導入や水資源保全、緑化保全などにも取り組みました。
その成果として、GRESBリアルエステイト評価で「2 Star」と「Green Star」を獲得し、GRESB開示評価では最上位の「Aレベル」を取得しています。さらに、CDP評価に初参加し、気候変動・水セキュリティの両分野で「B」スコアを獲得しました。これらはESGへの継続的な取り組みが外部から評価された結果といえます。
中期目標達成へ向けた成長軌道の確立
2026年1月期のスターアジア不動産投資法人は、ポートフォリオの再構築を通じて、インフレ環境に強い資産構成への転換を進めた期となりました。ホテル比率の引き上げ、成長余地の乏しい資産の売却、メザニンローン投資の活用など、収益性と将来性を重視した施策が特徴です。
業績面では、営業収益102億69百万円、当期純利益47億53百万円を計上し、1口当たり分配金は1,769円となりました。ホテル収益の拡大やオフィス・住宅の賃料増額が寄与し、売却益を除く収益力も着実に向上しています。
さらに、当期末後にはみずほリースの完全子会社であるエムエル・エステートを新たなスポンサーとして迎え、スポンサーサポート体制を強化しました。新たなスポンサーとの協業により、物件取得機会の拡充やブリッジ機能の強化が期待されており、今後の外部成長の原動力となる見込みです。
こうした取り組みにより、スターアジア不動産投資法人は収益の安定性と成長性を両立させながら、新中期計画で掲げた分配金成長と資産規模拡大の実現に向けて、着実に歩みを進めていると評価できます。
