2026年3月17日に森ヒルズリート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,100円のところ3,100円で着地しました。
都市のプレミアム資産を磨き上げる成長戦略

2026年1月期の森ヒルズリート投資法人は東京都心のプレミアム物件への集中投資という戦略を堅持しながら、外部成長と内部成長の両面で着実な成果を積み上げました。
外部成長では、2025年12月に虎ノ門ヒルズ 森タワーの追加取得を実施しました。取得価格96.6億円に対して鑑定評価額は116.1億円と、資産価値を下回る価格で取得しており、将来的なNAV向上と収益拡大に資する投資となっています。さらに、スポンサーである森ビル株式会社が保有する豊富なパイプラインを活用し、都心優良物件を競争入札を経ずに取得できる独自の強みを活かしながら、資産規模の拡大を進めました。
一方で、資産入替による価値実現も推進しました。当期にはラフォーレ原宿(底地)の持分7%を譲渡し、譲渡益1,519百万円を計上しました。単なる売却ではなく、長期的な分割譲渡を通じて含み益を顕在化し、その利益を投資主還元や新たな成長投資へ振り向けることで、資本効率の向上を図っています。
内部成長では、東京都心プレミアム物件の競争力が改めて発揮されました。オフィス稼働率は99.6%、住宅稼働率も96.0%と高い水準を維持しています。特にオフィス賃料は契約更新時で2.7%増、新規入替では9.1%増となり、住宅については更新時15.3%増、入替時24.1%増と大幅な賃料上昇を実現しました。都心オフィス市場の賃料上昇によりレントギャップも拡大しており、将来的な賃料増額余地が広がっています。こうした状況を踏まえ、固定型マスターリース契約の見直しや契約期間の短縮を通じて、今後のさらなる内部成長機会の確保を進めました。
安定財務と環境価値の融合で持続可能な都市運営を実現

財務面では、金利上昇局面を意識しながらも、安定性を重視した運営を継続しました。当期は新規取得資金や既存借入金の借換えを目的として長期借入れを実施し、有利子負債残高は1,895億円となりました。LTVは簿価ベース46.1%、鑑定評価額ベース36.5%に抑えられており、財務健全性を維持しています。また、固定金利比率74.9%、負債平均残存年数3.5年を確保するとともに、株式会社日本格付研究所(JCR)からAA(安定的)の格付を維持しており、強固な資金調達基盤を保持しています。
業績面では、営業収益113億81百万円、営業利益68億82百万円、当期純利益61億24百万円を計上し、前期比で増収増益を達成しました。ラフォーレ原宿(底地)の譲渡益が寄与したこともあり、1口当たり分配金は3,100円となり、安定的な投資主還元を実現しています。また、1口当たりNAVは165,145円と前期を上回り、資産価値の向上も進みました。
サステナビリティへの取り組みでは、森ビルグループが推進する都市開発と連動した環境価値創造が特徴となっています。保有物件の大半は高い耐震性能を備えるほか、DBJ Green Building認証やCASBEE認証など高水準の環境認証を取得しています。また、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズ、愛宕グリーンヒルズなどの緑地は、皇居や芝公園など周辺緑地と連携したエコロジカルネットワークを形成しており、生物多様性の維持・拡大にも貢献しています。
さらに、虎ノ門ヒルズや麻布台ヒルズでは国際環境認証「LEED」の最高ランクであるプラチナ認証を取得し、「WELL Core」についても日本初となる最高ランク認証を取得するなど、環境性能と利用者の健康・快適性を両立した街づくりを進めています。単なる不動産保有に留まらず、持続可能な都市開発を通じて資産価値向上を図る姿勢が鮮明となっています。
東京の未来価値を取り込むプレミアムREITの進化
2026年1月期の森ヒルズリート投資法人は、「東京都心プレミアム物件への集中投資」という明確な戦略のもと、資産取得、賃料成長、資産入替をバランスよく進めた期であったといえます。虎ノ門ヒルズ森タワーの追加取得による成長投資と、ラフォーレ原宿(底地)の譲渡による含み益実現を両立し、資産価値と分配金の双方を高める運営を実践しました。
また、港区を中心とする東京都心の希少性の高い立地に加え、森ビルグループによる大規模再開発やエリアマネジメントが継続的な付加価値創出を支えています。高水準の稼働率と賃料上昇基調、豊富なスポンサー物件パイプライン、そして強固な財務基盤を背景に、今後も着実な内部成長と外部成長が期待されます。
都市そのものの価値向上を取り込みながら資産価値と収益力を高めていく森ヒルズリート投資法人は、都心プレミアム不動産への投資を通じて、中長期的な投資主価値向上を目指す独自性の高いREITとして、更なる成長局面に入ったと評価できます。
