2026年9月17日にアドバンス・レジデンス投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,162円のところ3,225円で着地しました。
賃料成長を原動力とした住宅ポートフォリオの進化

2026年7月期は、住宅需要の強い都市部を中心に賃料上昇を着実に取り込みながら、資産入替によるポートフォリオの若返りと競争力向上を進めた期となりました。全国289物件、取得価格ベースで5,053億円という国内有数の住宅ポートフォリオを背景に、内部成長と外部成長の双方で成果を挙げています。
外部成長では、東京都内の世田谷区、板橋区、品川区に所在する物件に加え、横浜市の物件を取得し、合計約70億円規模の投資を実施しました。取得物件はいずれも人口流入が続く首都圏の住宅需要が見込まれるエリアに位置しており、平均築年数も相対的に若いことから、今後の賃料成長余地が期待されています。一方で、名古屋市や文京区などの一部資産を譲渡し、含み益を顕在化させるとともに、資産効率の改善を図りました。結果として、ポートフォリオの平均築年数は低下し、東京23区比率の高い構成へと進化しています。
内部成長では、住宅マーケットの逼迫を背景に賃料上昇が加速しました。期中平均稼働率は95.9%と高い水準を維持しながら、入替時賃料変動率は過去最高となる18.7%を記録しています。特に東京23区では20%を超える賃料上昇も見られ、シングル、コンパクト、ファミリーの各タイプとも高い伸びを実現しました。更新時の賃料改定率についても4.4%まで上昇し、増額打診率・応諾率ともに改善しています。
また、専有部リノベーション工事を積極的に推進している点も特徴です。当期は292戸でリノベーションを実施し、工事後の初回契約における賃料上昇率は36.2%に達しました。入居者ニーズを反映した設備更新や間取り改善により、長期的な競争力強化と収益成長を実現しています。
安定した財務基盤とESG評価のさらなる向上

財務面では、金利上昇環境のなかでも安定的な資金調達を継続しました。当期には総額248億円の借換えと新規借入れを実施し、平均調達年数6.5年の長期資金を確保しています。当期末の有利子負債残高は2,524億円となり、平均支払金利は0.94%、格付はJCRがAA、R&IがAA-を維持しました。
LTVは49.8%まで上昇したものの、事業規模や保有資産の含み益を考慮すると依然として健全な水準にあります。今後もLTVを適切に管理しながら、借入期間の長期化や固定化を継続し、金利上昇局面への耐性強化を図る方針です。
サステナビリティへの取り組みでは、環境面の評価が大きく向上しました。気候変動分野における国際的な情報開示評価では2年連続で最高評価を獲得したほか、サプライチェーンにおける環境対応も高く評価されています。また、環境認証取得割合は33.4%まで上昇し、2030年までに30%以上という目標をすでに上回る水準に到達しています。
加えて、省エネルギー設備の導入、共用部照明のLED化、電力使用量の可視化などを継続して推進しています。住宅分野における環境負荷低減と資産価値向上を両立させる運営を進めており、GRESB評価やレジデンシャル評価においても高い評価を獲得しています。
強固な収益基盤を背景に持続的な分配金成長を追求
2026年7月期は、売却益の計上額が前期から減少したものの、賃料収入の増加と新規取得物件の収益寄与により安定した収益を確保しました。営業収益は205億円、当期純利益は87億円となり、1口当たり分配金は3,225円と11期連続の増配を実現しています。
また、FFOPUは前年比3.0%成長し、賃料上昇による内部成長が金融コスト上昇を上回る結果となりました。1口当たりNAVも189,810円まで上昇し、分配金だけでなく資産価値の面でも着実な成長を続けています。
今後は、賃料上昇が続く東京23区を中心に住宅投資を継続しながら、専有部リノベーションや物件入替による競争力強化を進める方針です。また、新たに構築した外部パートナーとの連携も活用しながら、取得機会の拡大と収益基盤の強化を図ります。
賃料成長を最大の成長ドライバーと位置付ける戦略が着実に成果を上げており、金利上昇局面においても安定した分配金成長と資産価値向上を両立する住宅REITとしての強さを示した決算であったといえます。
