2026年10月19日にヒューリックリート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が4,000円のところ4,000円で着地しました。
銀座の中核物件取得を軸としたポートフォリオ再構築

2026年8月期のヒューリックリート投資法人は、ポートフォリオの成長性向上を目的とした大規模な資産入替えを推進しました。当期最大の特徴は、ヒューリック銀座ビルおよびヒューリック銀座ワールドタウンビルの取得を中心とした資産交換の実施です。2026年6月には、ヒューリック神谷町ビルの一部持分とヒューリック九段ビル(底地)を譲渡する一方で、銀座エリアの中核物件であるヒューリック銀座ビルおよびヒューリック銀座ワールドタウンビルを取得しました。加えて、江戸川橋富士ビルも取得し、成長余地の高いエリアへの資産シフトを進めています。
また、収益成長が見込みにくくなったネットワークセンター5物件を譲渡し、資産効率の改善を図りました。これらの資産入替えにより、ポートフォリオの収益性や将来の賃料上昇余地、立地面での競争力が向上しました。当期末の保有物件数は63物件、取得価格ベースの資産規模は4,241億円となっています。さらに、東京圏を中心とした優良立地への集中を進めた結果、ポートフォリオ全体の稼働率は99.7%と高水準を維持しました。
内部成長の面では、オフィス市況の改善を背景に賃料増額改定が進展しました。オフィスでは9,000㎡超の区画で賃料改定を実施し、平均6.6%の賃料増額を実現しています。マーケット賃料の上昇によって賃料ギャップは拡大しており、将来のさらなる賃料増額余地も蓄積されました。加えて、ホテルセクターではインバウンド需要の回復が追い風となり、変動賃料収入が増加しました。特に浅草ビューホテルでは客室リニューアルの効果が顕在化し、収益力強化に寄与しています。
オフィス賃料成長とグリーンローン活用による財務・ESG強化

2026年8月期の財務運営では、資産譲渡による資金回収と借換えを組み合わせながら、安定した財務基盤の維持に取り組みました。2026年3月には資産譲渡資金を活用して長期借入金64億円を期限前返済し、同年6月には取得資金の一部として46億円の短期借入れを行いました。さらに8月には163億円超の長期借入金を実施し、既存借入金の借換えと一部短期借入金の返済を進めています。その結果、有利子負債残高は1,950億円、LTVは46.6%となりました。また、㈱日本格付研究所による長期発行体格付「AA」を維持しており、高い信用力を確保しています。
サステナビリティ分野では、環境認証の取得拡大と気候変動対応を継続的に推進しました。2026年GRESBリアルエステイト評価では「4 Star」を獲得するとともに、「Green Star」を10年連続で取得しました。また、GRESB開示評価では8年連続で最高評価となる「A」を獲得しています。保有物件ではDBJ Green Building認証やBELS、CASBEE認証など計56件の環境認証を取得しており、新たに取得したヒューリック銀座ビルでも最高ランクのBELS認証やZEB認証を取得しました。さらに、8月には約36億円のグリーンローンを実施し、環境配慮型の資金調達を拡大しています。温室効果ガス排出量削減については、SBTi認定を取得した目標に基づき取り組みを進め、環境負荷低減と資産価値向上の両立を図りました。
成長性重視への転換が鮮明となった2026年8月期
2026年8月期は、ヒューリックリート投資法人が従来の安定性重視の運用から、成長性向上を重視するポートフォリオ戦略へ本格的に転換した期でした。銀座の優良物件取得をはじめとする資産入替えによって、将来の賃料上昇余地や収益成長が期待できる資産への入替えが進展しました。また、オフィス賃料の増額改定やホテル収益の伸長など、内部成長も着実に成果を上げています。
業績面では、営業収益122億78百万円、営業利益67億33百万円、経常利益57億57百万円、当期純利益57億54百万円を計上しました。前期比では譲渡益の減少などから減益となったものの、内部成長の進展と資産入替え効果により調整後EPUは予想を上回る着地となり、1口当たり分配金4,000円を維持しています。今後の収益成長を見据えた基盤整備が進んだことから、2026年8月期は中長期的な投資主価値向上に向けた転換点となる決算であったといえます。
