2026年5月21日に大和証券リビング投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,510円のところ2,630円で着地しました。
成長力の高い住宅ポートフォリオへの進化

2026年3月期の大和証券リビング投資法人は、「すべての人の生活・暮らしを支える」総合居住系REITとして、賃貸住宅を中心としたポートフォリオの収益力向上に取り組みました。当期末時点の運用資産は238物件、取得価格総額3,942億円となり、賃貸住宅とヘルスケア施設を組み合わせた独自のポートフォリオを形成しています。
外部成長では、将来の賃料成長が期待できる築浅賃貸住宅への入替を積極的に進めました。当期は「グランカーサ蒲田ウエスト」「グランカーサ横濱石川町」「グランカーサ横浜磯子」「グランカーサ錦糸町Ⅱ」など賃貸住宅8物件を総額142億円で取得する一方、賃貸住宅5物件とヘルスケア施設8物件、計13物件を譲渡しました。単なる資産規模拡大ではなく、成長性・立地・将来のコスト負担を総合的に勘案した戦略的なポートフォリオ再構築が進められています。
内部成長については顕著な成果が見られました。賃貸住宅では入替時賃料上昇率が13.2%となり、前期の10.7%を上回って過去最高を更新しました。入替件数1,428件のうち97.0%で賃料増額を実現し、賃料上昇額は月額ベースで2,148万円に達しています。東京23区では16.7%、関東エリアでも16.0%の賃料上昇率を達成し、全国的に力強い賃料上昇が確認されました。
更新時の賃料改定も順調に進みました。増額打診率は85%、応諾率は72%となり、更新時賃料上昇率は4.4%まで拡大しています。さらに、住戸リノベーションにも積極的に取り組み、2026年3月期は50戸で実施し、リノベーション住戸の入替時賃料上昇率は37.2%を記録しました。こうした施策によって物件競争力と収益力の向上を実現しています。
安定財務とESGを軸にした持続可能な運営

財務面では、積極的な物件取得を進めながらも安定した資本構成を維持しました。当期は投資法人債の償還や借入金返済に対応するため複数のリファイナンスを実施し、有利子負債総額は2,047億円となりました。総資産LTVは51.1%、金利固定化比率は51.7%となり、安定した財務基盤を維持しています。また、平均残存期間は3.6年、平均借入期間は7.3年を確保しており、長期的な資金安定性にも配慮しています。
業績面では、営業収益149億9,300万円、経常利益68億6,600万円、当期純利益68億6,600万円を計上しました。物件売却益を圧縮積立金として一部内部留保しながらも、分配金総額は62億7,500万円となり、1口当たり分配金は2,630円となりました。売却益を活用した積極的な投資と投資主還元を両立した内容となっています。
サステナビリティへの取り組みも継続的に強化しました。環境面ではLED照明や高効率空調設備の導入、省エネ設備への更新を進めるとともに、エコアクション21を活用した環境マネジメントを推進しています。また、ヘルスケア施設の供給促進を目的としたソーシャルローンやソーシャルボンドを活用し、2026年3月末時点のソーシャルファイナンス残高は129億円となっています。
さらに、2025年GRESBリアルエステイト評価では4年連続で「Green Star」を獲得し、GRESB開示評価では4年連続で最高位の「A」評価を取得しました。環境認証取得物件は26物件となり、ポートフォリオ全体の延床面積ベースで24.2%まで拡大しています。
内部成長を主軸とした次なる飛躍へ
2026年3月期は、大和証券リビング投資法人が掲げる「内部成長力の強化」が具体的な成果として現れた期となりました。賃貸住宅市場における需給逼迫とインフレ環境を追い風に、入替時・更新時ともに過去最高水準の賃料上昇率を実現しました。とりわけ賃貸住宅を中心としたポートフォリオへの再構築が進展したことで、今後の収益成長力は一段と高まっています。
また、ヘルスケア施設の比率を抑えながら賃貸住宅比率を高める戦略を推進し、将来的には賃貸住宅比率90%程度を目指す方針を掲げています。内部成長が加速するポートフォリオへ進化させることで、賃料増額を通じた持続的なNOI成長を図る考えです。
今後も、豊富なパイプラインを活用した築浅物件取得と、成長性・収益性を重視した資産入替を継続しながら、賃貸住宅を中心とした内部成長をさらに深掘りしていく方針です。安定した財務基盤と高い運営力を背景に、継続的な分配金成長と投資主価値向上が期待されます。
