2026年5月21日にグローバル・ワン不動産投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,550円のところ3,681円で着地しました。
賃料成長を原動力としたオフィス特化型ポートフォリオの進化

2026年3月期のグローバル・ワン不動産投資法人は、好調なオフィス市場を背景に内部成長を加速させるとともに、積極的な資産入替による外部成長を推進しました。東京23区の空室率が歴史的な低水準にある中、企業の拡張移転や館内増床需要を取り込み、ポートフォリオ全体の収益力向上に取り組んでいます。
外部成長では、アルカセントラルおよび横浜プラザビルの持分売却を進める一方で、明治安田生命大阪梅田ビルの追加取得、福岡Kスクエア、ルーシッドスクエア新大阪、GRAND CENTRAL CHIBAなどを取得しました。これらの取得物件はいずれも主要駅近接の高品質オフィスであり、成長余地や競争力に着目した投資となっています。特に福岡Kスクエアやルーシッドスクエア新大阪は、地方中核都市における交通利便性やオフィス需要の拡大を見据えた取得であり、ポートフォリオの収益基盤強化に寄与しています。
また、2026年4月以降にはコモレ四谷やICON PLACE SHIBAKOENの取得も実施しており、首都圏および地方主要都市への投資を継続しています。これらの資産入替により、取得資産の平均築年数は低下し、ポートフォリオの競争力向上と収益性改善が進展しました。
内部成長も大きな成果を上げています。期末入居率は98.9%となり、前期比で1.5ポイント上昇しました。賃料改定では増額打診率84.8%、増額応諾率78.6%を実現し、賃料改定率は平均6.5%となりました。さらに、マーケット賃料は前年比10.1%上昇しており、レントギャップはマイナス8.9%まで拡大しています。これは将来の賃料増額余地が依然として大きいことを示しています。
加えて、東京オペラシティビルや山王グランドビルにおけるラウンジ整備や共用部リニューアルなどのバリューアップ工事も進められており、成約単価や入居率向上という成果につながっています。
安定財務とESG推進による持続的価値創造

財務面では、取得資金調達と財務健全性の維持を両立しました。当期は福岡Kスクエア、ルーシッドスクエア新大阪、GRAND CENTRAL CHIBAの取得資金として借入を行い、有利子負債残高は1,266億円となりました。簿価ベースLTVは53.2%、時価ベースLTVは45.0%となっています。平均調達期間は5.5年、長期固定金利比率は79.0%を維持し、金利上昇局面においても安定した財務基盤を確保しています。
また、2026年4月には第6回公募増資を実施し、約139億円を調達しました。これにより物件取得資金を確保するとともに、LTVは50.9%から50.0%へ低下する見込みとなり、財務余力も向上しています。高い信用力を背景に、日本格付研究所からAA-の格付を維持していることも特徴です。
業績面では、営業収益75億4,400万円、経常利益39億7,600万円、当期純利益39億7,500万円を計上しました。1口当たり分配金は3,681円となり、業績予想を96円上回る水準で着地しています。不動産売却益を一部内部留保しつつ、着実な分配を実現した点も評価できます。
サステナビリティの取り組みでは、GRESBリアルエステイト評価において「5スター」を獲得し、開示評価でも最上位の「Aレベル」を取得しました。また、2025年にはCDP気候変動プログラムへ初回答し、「B」スコアを獲得しています。
環境面では、環境認証取得率が97.2%まで拡大し、ZEB認証保有棟数は8棟となりました。また、J-REIT初となるZEB化工事費を対象としたグリーンファイナンス・フレームワークを策定し、60億円のコミット型タームローンを締結しています。さらに再生可能エネルギー電力や再生水の利用、LED化工事の推進など、脱炭素社会の実現に向けた施策を積極的に進めています。
オフィス市況の追い風を成長へ転換する次なるステージ
2026年3月期は、グローバル・ワン不動産投資法人にとって内部成長力の高さが明確に表れた期となりました。強いオフィス需要を背景に賃料増額が進展し、巡航EPUは前期比6.0%成長、DPUも当初予想を上回る着地となっています。
また、福岡、新大阪、千葉、芝公園など成長ポテンシャルの高いオフィスビルへの投資を進めることで、資産規模は2,350億円へ拡大し、将来的な収益成長の基盤も強化されました。特にスポンサーである明治安田生命保険と三菱UFJ信託銀行のネットワークを活用した物件取得は、同投資法人ならではの強みとなっています。
今後は、中長期的にEPU年平均3%成長、DPU年平均2%成長を目標に掲げています。力強い賃料成長、優良物件の取得、戦略的な資産入替、内部留保の活用を通じて、投資主価値のさらなる向上を目指していく方針です。堅調なオフィス市況と高い運営力を背景に、今後も着実な成長が期待されます。
