2026年2月16日に日本ビルファンド投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,420円のところ2,454円で着地しました。
不動産賃貸収入の増加>金利コストの増加を実行

2025年12月期の日本ビルファンド投資法人は、オフィス市場の回復を追い風として、積極的な物件取得による外部成長と賃料上昇を軸とした内部成長の双方を推進しました。当期の東京都心部オフィス市場では、企業のオフィス回帰や業容拡大に伴う増床需要、立地改善を目的とした移転需要などが継続し、都心部空室率は2%台まで低下するなど良好な環境が続きました。こうした市場環境を背景に、本投資法人はポートフォリオの競争力強化と収益基盤の拡充に取り組みました。
外部成長では、2025年7月にフロンティア武蔵小杉N棟・S棟を290億円で取得し、さらに11月にはNBF CONNECT SAPPOROを138億円で取得しました。いずれも築浅で競争力の高いオフィス資産であり、中長期的な収益貢献が期待される物件です。これにより、当期末のポートフォリオは70物件、取得価格総額1兆5,190億円へ拡大しました。また、将来の成長に向けて、2026年取得予定の日本橋本町M-SQUAREや豊洲ベイサイドクロスタワー追加取得なども決定し、スポンサーとの連携を活用した資産入替戦略を継続しています。取得物件の平均築年数は低く、一方で譲渡対象は築30年超の物件が中心であり、ポートフォリオの若返りと収益性向上が図られています。
内部成長では、高稼働を維持しながら賃料増額を進めたことが大きな成果でした。ポートフォリオ全体の期中平均稼働率は98.5%、期末稼働率は98.3%と高い水準を維持しました。特に賃料改定においては、2025年7月から12月にかけて増額改定割合が面積ベースで89.7%に達しており、件数ベースでも増額契約の割合が大幅に上昇しました。レントギャップは12.5%まで拡大しており、マーケット賃料の上昇を背景に今後も賃料成長余地を有しています。当期の不動産賃貸収入は前期比16億円超増加し、既存物件だけでも約5億円の増収を実現しました。
また、物件競争力の維持・向上を目的とした戦略的投資も継続して実施しています。テナント満足度向上やリーシング力強化を意識しながら、建物性能や快適性の向上を図る施策を進めることで、長期的な資産価値向上につなげています。
平均調達金利は上昇中

財務面では、積極的な成長投資を行いながらも、保守的な財務運営方針を維持しました。2025年7月には公募増資を実施し、約180億円を調達して物件取得資金に充当しました。さらに長期借入による資金調達も行い、有利子負債残高は6,280億円となりましたが、LTVは43.3%とターゲットレンジ内に収まり、安定した財務健全性を維持しています。長期固定金利比率は83.9%、平均残存年数は4.58年となっており、金利上昇局面を見据えたリスク管理も進められています。
また、資金調達基盤の強化にも継続的に取り組みました。総額600億円のコミットメントラインを維持するとともに、発行登録枠2,000億円の投資法人債発行体制を確保しています。加えて、㈱日本格付研究所(JCR)からAA+、㈱格付投資情報センター(R&I)からAA、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱からA+の高格付を維持しており、国内J-REITの中でも高い信用力を誇っています。
サステナビリティへの取り組みでは、環境面の目標達成に向けた施策が大きく前進しました。本投資法人は、2050年までにGHG排出量総量(Scope1・2・3)を2021年比で90%削減するネットゼロ目標と、2030年までにGHG排出量(Scope1・2)を42%削減する目標を掲げています。再生可能エネルギー導入、LED化、省エネ設備更新、節水機器導入などを推進した結果、2024年実績でScope1・2の削減率は71.0%となり、2030年目標を前倒しで達成しました。
さらに外部評価においても高い評価を獲得しています。2025年GRESBリアルエステイト評価では2年連続で最高位の「5スター」を取得し、グリーンビルディング認証取得率は99.3%に達しました。また、TCFD提言に基づく情報開示や環境データの開示も継続しており、ESG経営の高度化を進めています。社会面ではテナント満足度向上や地域社会との共生を重視し、ガバナンス面ではコンプライアンス研修や牽制機能の強化を継続しています。
総括
2025年12月期の日本ビルファンド投資法人は、国内最大級のオフィス特化型REITとしての強みを生かし、外部成長と内部成長の両面で着実な成果を上げました。築浅で競争力の高いオフィス資産の取得によるポートフォリオ強化と、高稼働を維持しながら進めた賃料増額施策によって、収益基盤の拡大を実現しています。
当期は不動産売却益の剥落により会計上の利益は減少したものの、不動産賃貸収益は前期比4.7%増加し、賃貸事業利益も3.5%増加しました。不動産賃貸事業収益ベースでは着実な成長を遂げており、本業収益力の向上が鮮明となっています。期末時点の総資産は1兆4,488億円に達し、国内オフィス市場を代表するポートフォリオをさらに強化しました。
今後は、スポンサーとの連携を活用した資産入替や新規取得に加え、増額改定の加速による賃料成長が期待されています。本投資法人はEPUの持続的成長を掲げており、2026年12月期までの3期でEPUを約3%成長させる見通しです。堅固な財務基盤と高いESG評価を背景に、日本ビルファンド投資法人は中長期的な投資主価値向上に向けた取り組みを着実に進めていると評価できるでしょう。
