2026年10月21日に日本都市ファンド投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,981円のところ3,012円で着地しました。
物件ごとの成長シナリオを描いた取得と戦略的な売却

2026年8月期の日本都市ファンド投資法人は、資産入替を通じた外部成長を積極的に推進しました。当期はJMFビルつくば01、Apartment Hotel 11 Shinsaibashi Amemura 2、JMFレジデンス大阪淡路の3物件を取得する一方で、pivo和泉中央、JMFビル江戸川橋01、コナミスポーツクラブ京橋の持分、イオンモール鶴見緑地の持分など4物件を譲渡し、ポートフォリオの質と成長性の向上を図りました。
特に特徴的だったのは、単なる取得・売却ではなく、各物件に成長シナリオを描きながら資産の入替を行った点です。固定賃料型底地であるライフ下寺店やエディオン京橋店(底地)を高値で売却し、その売却資金を成長余地の大きい資産へ再投資する方針を明確に打ち出しました。また、スポンサーとの連携やCREカーブアウト案件への投資を進めることで、将来的な収益拡大と資産価値向上を見据えた外部成長戦略を展開しています。
その結果、当期末時点の運用資産は157物件、取得価格総額1兆3,190億円、鑑定評価額合計1兆5,984億円となりました。ポートフォリオ全体の稼働率は99.4%という高水準を維持しており、資産規模と運用効率の両面で堅調な成果を挙げています。さらに、含み益は3,238億円まで拡大し、1口当たりNAVも132,900円と過去最高水準へ上昇しました。
商業の大幅な入替増額が牽引し、ポートフォリオ全体で10%超の賃料増額を実現
内部成長の面では、賃料増額の成果が際立つ期となりました。契約更改やテナント入替を通じて、ポートフォリオ全体で賃料増減率プラス11.3%を実現しており、とりわけ商業施設ではプラス19.9%という大幅な賃料上昇を達成しました。これは国内消費の堅調さやハイストリートを中心とした需要の強さを背景に、テナントとの交渉力を発揮した結果といえます。
都市部商業施設では、Gビル心斎橋01やJMFビル代官山01、ラ・ポルト青山、JMFビル銀座中央通り01などで大幅な賃料増額を実現しました。さらに、歩合賃料やCPI連動条項の導入を進めることで、インフレ環境下でも継続的な賃料成長を取り込める契約構造への転換を進めています。
オフィス分野でも大阪圏を中心に力強い賃料上昇が続き、住宅分野では入替時に9.8%、更新時に4.1%の賃料増額を実現しました。また、駐車場収入やカード手数料収入の拡大、電力コスト削減や運営仕様の見直しなども進められ、賃料以外の収益向上策によってNOI成長を支えています。これらの取り組みにより、既存ポートフォリオのNOI成長率は年平均4.4%、ポートフォリオ全体の賃料成長率は年平均5.2%となり、内部成長が着実に積み上がる結果となりました。
また、将来の競争力向上に向けて、イオン那覇ショッピングセンターやユニモちはら台などで大型リニューアルを計画するなど、計画的なCAPEX投資も推進し、中長期的な収益拡大の基盤整備を進めています。
安定した財務基盤

財務面では、返済期限を迎えた借入金313.5億円と投資法人債95億円の借換えに加え、新規取得物件の取得資金として計94億円の借入れを実施しました。その結果、当期末の有利子負債残高は6,320億円となりましたが、長期負債比率99.8%、固定金利比率91.1%を維持し、金利上昇局面においても安定した財務基盤を確保しています。LTVは37.3%と健全な水準に抑えられており、JCR格付AA(安定的)も維持しています。
業績面では、営業収益51,508百万円、営業利益25,890百万円、経常利益22,675百万円、当期純利益22,675百万円を計上しました。分配金については、配当積立金を活用しながら投資口1口当たり3,012円を実現し、3,000円超の水準を維持しています。
サステナビリティへの取り組みも着実に進展しました。おやまゆうえんハーヴェストウォークでは空調室外機に省エネカバーコートを施工し、2025年度の年間電力使用量を2023年度比で9%削減しました。また、2023年に取得したSBTi認定に基づき温室効果ガス削減に取り組み、GRESBリアルエステイト評価で「4 Star」、CDP気候変動プログラムで「A」を獲得しています。さらに、ツイン21ではABINC認証を取得するなど、環境および生物多様性への配慮も進めました。
以上のように、2026年8月期の日本都市ファンド投資法人は、戦略的な資産入替による外部成長、力強い賃料増額による内部成長、そして安定した財務運営とサステナビリティ推進を同時に実現しました。特に商業施設を中心とした賃料成長と成長資産への入替によって、1口当たりNAVは過去最高を更新し、分配金も3,012円を達成しています。総合型REITとしての強みを生かしながら、資産価値の向上と投資主還元の両立を進めたことが、2026年8月期を象徴する成果であったといえます。
