2026年6月17日にNTT都市開発リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,140円のところ3,140円で着地しました。
首都圏集中戦略と資産入替による成長基盤の強化

2026年4月期のNTT都市開発リート投資法人は、東京経済圏を中心としたオフィス・レジデンスポートフォリオの強化を進めるとともに、資産入替を通じた収益力向上に取り組みました。当期末の保有資産は62物件、取得価格総額2,952億円となり、オフィス比率64.1%、レジデンス比率29.1%を維持しています。
外部成長では、2026年2月に大阪市の賃貸住宅「La Douceur都島高倉町」を取得しました。一方で、長期保有していたランディック第2新橋ビルの持分を売却し、売却益を実現しています。さらに中期的な資産入替戦略として、築古オフィスや収益成長余地の小さい資産を売却し、築浅で収益性の高いレジデンスへのシフトを進めています。取得したレジデンス群の平均築年数は3.7年である一方、売却資産群の平均築年数は37.9年となっており、ポートフォリオ全体の若返りと収益性向上が進展しました。
また、外部成長の柱として福岡Kスクエア、新大阪のルーシッドスクエア新大阪、GRAND CENTRAL CHIBA、コモレ四谷などの優良オフィス取得を進め、資産規模は2,350億円規模へ拡大しました。いずれも交通利便性や競争力の高い立地に所在しており、中長期的な収益成長が期待されています。
内部成長については、オフィス・レジデンスともに大きな成果を上げました。オフィスでは平均入居率が98.9%と高水準まで上昇し、賃料改定率は6.5%となりました。増額改定割合も68%を超えており、マーケット賃料上昇を背景にレントギャップの解消が進んでいます。特に東京オペラシティビルや上野THビルでは大幅な賃料増額を実現しました。
レジデンスではさらに力強い成長を示しました。入替時賃料増額率は15.2%、更新時賃料増額率は2.0%となり、いずれも過去最高水準を更新しています。東京23区では入替時賃料増額率が16.7%に達し、全7エリア中6エリアで過去最高を更新しました。加えて、専有部リノベーションを積極的に実施し、改修住戸では40%から70%近い賃料上昇も実現しています。
安定財務とESG推進による持続的な成長基盤

財務面では、物件取得資金や既存借入金の返済資金として143億円の借入れを実施しました。当期末の有利子負債残高は1,472億円、有利子負債総額に占める長期有利子負債比率は94.6%となっています。JCRからはAA(安定的)の格付を維持しており、資金調達環境は良好な状態を維持しています。
また、財務運営では長期固定金利を主軸としながら、金利環境に応じて長期変動金利借入を柔軟に活用する方針を採用しています。平均調達利率は1.19%、平均調達期間は5.5年となっており、金利上昇局面においても安定性を重視した財務戦略を展開しています。
業績面では、営業収益129億7,500万円、経常利益51億1,700万円、当期純利益51億1,500万円を計上しました。不動産売却益を活用しながら圧縮積立金を積み増しつつ、1口当たり分配金は3,140円となりました。売却益を還元しながら、将来の安定成長に向けた内部留保も確保しています。
サステナビリティの取り組みでは、環境認証取得率が72.5%まで拡大しました。GRESBリアルエステイト評価では「4スター」と「グリーンスター」を取得し、GRESB開示評価では最上位の「A」を6年連続で獲得しています。
さらに、2026年3月にはJ-REIT初となるZEB化工事費を対象としたグリーンファイナンス・フレームワークを策定し、日本政策投資銀行との60億円のコミット型タームローン契約を締結しました。温室効果ガス排出量についても、2030年度までに2020年度比42%削減、2050年度ネットゼロを目標に掲げています。
賃料成長を軸とした次なる飛躍へ
2026年4月期は、NTT都市開発リート投資法人にとって、内部成長力の高さが明確に示された期となりました。オフィスでは空室率低下と賃料上昇の恩恵を受け、レジデンスでは強い需要を背景に賃料増額が加速しています。これらの成果を反映し、巡航EPUは2,640円まで上昇しました。
また、築古資産の売却と築浅レジデンス・優良オフィスの取得を組み合わせた資産入替によって、ポートフォリオの競争力と将来成長性の向上も進んでいます。スポンサーであるNTT都市開発グループとの連携を生かしながら、優良物件の継続取得を進める体制も整っています。
今後は、賃料成長を軸とした内部成長をさらに深化させるとともに、資産入替と外部成長を組み合わせることで、中長期的にEPU3,100円の達成を目指しています。安定した財務基盤と高い運営力を背景に、持続的な投資主価値向上が期待される内容となりました。
