2026年1月21日にSOSiLA物流リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,971円のところ3,024円で着地しました。
尚、利益超過分配金333円が含まれています。
資産入替の完了と安定運用の深化
2025年11月期のSOSiLA物流リート投資法人は、前期から続いた資産入替プロセスを完了し、ポートフォリオの質と収益性の両面で改善を進めました。当期は、LiCS成田の準共有持分50%を譲渡し、譲渡価格3,010百万円を確保したことで、資産入替の総仕上げとなりました。これにより、保有物件は17物件となり、取得価格合計142,059百万円のポートフォリオが形成されています。稼働率は期末時点で100%を維持し、物流不動産としての安定性を改めて示しました。
内部成長では、契約更改時の賃料増額が着実に進み、第12期ではリテナントの賃料増額やTK分配金の増加が収益に寄与しました。上場来の賃料増額率は平均4.1%となり、物流施設の立地優位性とテナント粘着性が内部成長の基盤として機能しています。また、契約残存期間は平均7.0年、契約期間は平均11.1年と長期安定の構造が維持され、短期契約比率が42.3%あることで、今後も賃料改定の機会を確保できる点が強みとなっています。こうした内部成長の積み上げが、当期の営業収益4,784百万円、営業利益2,249百万円という堅調な業績につながりました。
保守的な財務運営とESG評価の深化

財務面では、当期に新規借入を行わず、既存の借入構造を維持しながら安定的な財務運営を継続しました。期末の有利子負債総額は653.2億円、簿価LTVは43.6%、鑑定LTVは36.5%と保守的な水準を維持しています。平均調達期間は6.6年、固定金利比率は90.8%に達し、金利上昇局面でも耐性のある負債構造を確立しています。さらに、2025年12月には91億円のリファイナンスを実行し、借入期間のコントロールを通じて金利上昇の影響を最小化する姿勢を示しました。2025年11月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA-、格付けの見通し:安定的
ESG対応では、物流REITとして高い評価を継続しており、2025年のGRESBリアルエステイト評価では4年連続の「5スター」、5年連続の「Green Star」を取得しました。環境面では、CO₂排出量原単位の削減、エネルギー消費原単位の削減、グリーンビルディング認証の取得拡大など、2030年に向けたKPIを明確に掲げています。保有物件では太陽光パネル設置、LED化、人感センサー導入、屋上緑化などの取り組みが進み、非化石証書の購入による環境負荷低減も実施されています。
ガバナンス面では、資産運用会社SRMが金融庁から業務改善命令を受けたことを踏まえ、コンプライアンス宣言の策定、取締役構成の見直し、CRO・CCOの新設、鑑定業者選定プロセスのローテーション化など、内部管理態勢の強化が進められました。これらの対応は、投資主利益の保護と運用の透明性向上に直結する重要な改革となっています。
業務改善命令の詳細:問題の本質と再発防止策の実効性

2025年11月期のSOSiLA物流リート投資法人では、財務運営の安定性を維持しつつ、資産運用会社である住商リアルティ・マネジメント株式会社(SRM)に対して金融庁から業務改善命令が発出されたことを受け、ガバナンス体制の抜本的な見直しが進められました。この行政処分は、非上場投資法人における不動産鑑定評価の発注プロセスで不適切な行為があったと認定されたもので、SOSiLAの資産運用自体に問題は指摘されていないものの、スポンサー企業の影響力が強い体制の中で牽制機能が十分に働かなかった点が重く受け止められました。
SRMはまず、法令遵守を最優先とする姿勢を明確化するため「コンプライアンス宣言」を策定し、経営陣自らがコンプライアンス重視のメッセージを発信する体制へと転換しました。研修内容も単なる知識の習得に留めず、資産取得業務マニュアルの趣旨や利益相反防止の実務的な留意点まで踏み込んだ内容へと拡充し、継続的な教育を通じて組織全体の意識改革を図っています。
さらに、今回の問題の根源とされた「スポンサー出向者が多数を占める経営体制」についても大幅な見直しが行われました。取締役会はスポンサー出向者5名から2名へと縮小され、代わりにプロパー社員2名が取締役として登用されました。これにより、意思決定における独立性が高まり、スポンサーの意向に過度に左右されない体制が整備されました。また、プロパー取締役には新設されたチーフリスクマネジメントオフィサー(CRO)とチーフコンプライアンスオフィサー(CCO)を担わせ、リスク管理と法令遵守の責任を明確化し、経営陣内部での牽制機能を強化しています。
意思決定プロセスも大きく改められました。従来は社長決裁が前提となっていた取得計画の起案プロセスを見直し、社長の事前介入を排除する仕組みに変更しました。投資委員会では委員長を社長からCROへと変更し、利害関係者取引においては外部委員の同意に加え、社長自身の賛成も必須とすることで、責任の所在を明確化しつつ透明性を高めています。さらに、鑑定業者の選定はローテーション方式に一本化され、仮選定前のヒアリングは禁止されるなど、恣意性を排除するための具体的なルールが明文化されました。鑑定業者とのやり取りは新設された事業リスク管理室がモニタリングし、資料提供やメールのやり取りまで証跡管理を徹底する体制へと移行しています。
これらの一連の改革は、単なる形式的な改善ではなく、スポンサーとの関係性、意思決定の構造、内部牽制の仕組み、鑑定業者選定のプロセスまで踏み込んだ「組織の再構築」と言える内容です。SRMは行政処分の原因となった役職者の配置転換も行い、責任の所在を明確化したうえで、2026年2月に新体制へ移行する予定です。投資法人としては、こうしたガバナンス強化が長期的な信頼回復と持続的な成長の基盤になると位置づけています。
