2025年8月14日にいちごグリーンインフラ投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,885円のところ3,885円で着地しました。
尚、利益超過分配金2,383円が含まれています。
外部成長は新規取得なし、内部成長は発電量減少への運営対応が中心

2025年6月期は、新たな資産取得や売却が行われず、外部成長は事実上停滞しました。保有発電所数は15件、パネル出力29.43MWと前期から変化がなく、スポンサーサポート契約に基づく取得余地は維持されているものの、当期においては具体的な拡大行動は見られませんでした。一方で内部成長については、既存設備の安定運用と発電量減少への対応が中心となりました。当期の発電量は3,232万kWhとなり、期初予想比で3.3%の減少を記録しました。名護二見のパネル不具合(PID)や複数地域での出力制御、天候不良が重なり、特に名護二見では予想比で約193万kWhのマイナスとなる大幅な減少が発生しました。これに対し、オペレーターであるいちごECOエナジーが統合監視システムを用いたリアルタイム管理を行い、故障の早期発見や修繕対応を進めることで発電ロスの抑制を図りました。また、出力制御対策としてオンライン出力制御の導入を進め、15発電所中8発電所で導入済となり、2026年6月期末までに北海道地域でも導入を完了する計画が示されました。名護二見のPIDについては、パネルメーカーが保証対象と認めているものの、協議が継続中であり、投資法人は督促を続けながら改善に向けた対応を進めています。こうした内部成長の取り組みにより、発電量の下振れを一定程度抑制しつつ、長期的な資産価値の維持に努めた期となりました。
借入金残高の着実な減少と出力制御・盗難対策などのサステナビリティ対応

財務面では、新規の資金調達は行われず、約定返済を通じて借入金残高を452百万円減少させ、当期末の借入金残高は4,090百万円となりました。これによりLTVは54.2%まで低下し、財務の安定性が一段と高まりました。借入金利は全額固定化されており、加重平均金利は0.770%と低水準を維持しています。業績面では、営業収益996百万円、営業利益208百万円、経常利益155百万円、当期純利益154百万円となり、発電量減少の影響を受けつつも、販管費削減やオペレーター保証の発動により収益の下振れ幅を抑えました。特に名護二見と伊予中山町出渕の2発電所でオペレーター保証が発動し、合計39,304千円が収入補填として計上されました。
サステナビリティ対応としては、出力制御対策と盗難対策が大きなテーマとなりました。出力制御は北海道・四国・中国・九州・沖縄など複数地域で継続的に発生しており、2025年6月期の北海道では平均55日と高い水準でした。これに対しオンライン出力制御の導入を進め、発電ロスの低減を図りました。また、全国的に多発する電気ケーブル盗難への対策として、全15発電所で警備強化を実施し、2025年6月期には129百万円の資本的支出を投じて大手警備会社による機械警備を増設しました。これらの取り組みは、再生可能エネルギーの安定供給と長期的な発電事業の持続性を確保するうえで重要な役割を果たしています。
発電量減少を乗り越えつつ安定運用を継続した期
2025年6月期は、発電量の下振れやパネル不具合、出力制御といった複数のマイナス要因が重なり、営業収益が予想比で56百万円減少するなど厳しい運営環境となりました。しかし、オペレーター保証の活用や販管費削減により収益の落ち込みを抑え、当期純利益154百万円を確保しました。分配金は利益分配金154百万円に加え、減価償却費648百万円の37.8%に相当する245百万円を利益超過分配金として支払い、1口当たり3,885円を維持しました。FFOは803百万円となり、分配金の約2倍の水準を確保するなど、キャッシュフローの安定性も保たれています。
外部成長が停滞した一方で、内部成長に関しては出力制御対策、PID対応、盗難対策など、既存資産の安定運用に向けた取り組みが多方面で進展しました。財務面では借入金残高の着実な減少によりLTVが低下し、財務基盤の強化が進みました。総じて、発電量の減少という逆風の中でも、運営管理能力とスポンサーサポートを活かし、安定した収益構造を維持した期であったと言えます。次期は発電量が3,324万kWhへ回復する見通しが示されており、内部成長の取り組みが収益改善につながることが期待されます。
