2025年8月15日にカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,281円のところ3,281円で着地しました。
尚、利益超過分配金373円が含まれています。
1,000億円を超える資産基盤の確立と成長戦略の前進

2025年6月期は、資産規模の拡大と将来の成長に向けた投資を実行した期となりました。外部成長の面では、2025年1月に広島県のCS広島市鈴張発電所、同年5月に栃木県のCSさくら市喜連川発電所を取得しました。これにより保有資産は34物件、パネル出力は246.3MW、取得価格総額は1,017.8億円となり、資産規模1,000億円を突破しました。2024年に掲げた中期経営計画「VISION2030」の目標である3,000億円規模の実現に向けて、大きな一歩を踏み出しています。
また、スポンサー開発案件に加え、第三者案件の取得も継続して推進しました。2025年6月末時点では、スポンサー案件14物件243.6MWと第三者案件1物件45.8MWを合わせた289.4MWのパイプラインを確保しており、取得機会の多様化を進めています。特に100MW級のCS吾妻小富士発電所をはじめとする大型案件を成長候補として抱えていることは、今後の外部成長の大きな原動力となっています。
内部成長の面では、出力制御への対応強化と発電所価値の向上に取り組みました。当期は全般的に天候に恵まれたものの、3月から5月にかけて出力制御の影響が大きく、実績発電電力量は予想発電電力量比93.69%となりました。出力制御による想定逸失変動賃料は約6.6億円に達しましたが、オンライン出力制御装置の導入を継続して進めたことで売電ロスの低減を図っています。さらに、トラッキング付き非化石証書や再生可能エネルギー電気特定卸供給契約の活用を進めることで、環境価値の収益化にも取り組みました。加えて、将来的な内部成長に向けて、FIP転換や蓄電池導入、リパワリングの検討を本格化させています。
資本効率を重視した財務施策とサステナビリティの深化

財務面では、成長投資と投資主還元を両立する資本政策が進められました。当期はCS広島市鈴張発電所の取得資金として43億円を借り入れた一方で、16億円超の約定返済を実施しています。その結果、有利子負債総額は467.3億円、総資産有利子負債比率は51.2%となりました。平均借入金利は0.986%と低位に抑えられており、22行・庫との取引関係を維持しながら安定した資金調達体制を構築しています。また、JCRから「A(ポジティブ)」、R&Iから「A-(ポジティブ)」の格付を維持しており、上場インフラファンドとして高い信用力を確保しました。
さらに、キャッシュマネジメント方針に基づき、自己投資口取得を積極的に実施しました。2025年2月から6月にかけて10,576口を取得し、全てを消却しています。これにより1口当たり利益分配金の向上を図るとともに、投資主価値の向上を進めました。また、新規物件取得と合わせてEPU(1口当たり利益)の向上にも寄与しており、成長投資と還元の両立を目指す姿勢が鮮明となりました。
サステナビリティの取り組みでは、2025年2月に新たなサステナビリティレポートを発行し、ESG情報開示を強化しました。再生可能エネルギーの創出、温室効果ガス削減への貢献、地域社会との連携、人材育成、ガバナンス強化など8つのマテリアリティを整理し、持続可能な成長に向けた方向性を明確化しています。
また、上場インフラファンドとして初めて署名した国連責任投資原則(UN PRI)を継続するとともに、TCFD提言に沿った情報開示や、欧州のサステナビリティ関連開示規則(SFDR)のArticle8に適合した開示も継続しました。さらに、グリーンファイナンス・フレームワークについてJCRの最上位評価である「Green1(F)」を維持し、グリーンローンやグリーンボンドを通じて環境価値と資金調達の両立を推進しています。
成長基盤の拡充と新たな協業機会を切り開いた一年
2025年6月期は、出力制御による影響を受けながらも、資産規模の拡大と中長期的な成長基盤の整備を進めた一年となりました。営業収益は4,514百万円、営業利益は1,690百万円、当期純利益は1,248百万円となりました。出力制御による実績連動賃料の減少が収益を押し下げたものの、工事費の減少や保険金収入の計上などにより収益性の維持に努めています。
投資主還元については、利益超過分配を活用することで1口当たり分配金3,281円を維持しました。また、自己投資口取得による資本効率向上策もあわせて実施しており、投資主価値の向上を重視した運営が継続されています。
さらに当期は、ヒューリックによる投資口公開買付け(TOB)が公表されたことも大きな出来事でした。投資法人は公開買付けへの賛同を表明するとともに、成立後には物件情報の提供やウェアハウジング機能の活用、電力販売支援などを含む協業が期待される体制を構築しています。一方で、スポンサーであるカナディアン・ソーラー・グループとの関係は維持される方針であり、既存の成長戦略との両立も図られています。資産規模1,000億円突破、成長戦略「VISION2030」の推進、そして新たなパートナーとの協業機会の拡大により、2025年6月期はさらなる成長に向けた土台を築いた一年であったと総括できます。
