2021年2月17日にカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,700円のところ3,700円で着地しました。
尚、利益超過分配金601円が含まれています。
取得資産の積み上げと運営力向上による成長の実現

2020年12月期は、資産規模の拡大と既存ポートフォリオの運営強化を並行して進めた期となりました。外部成長の面では、2020年9月に北海道のCS石狩新篠津村発電所と宮城県のCS大崎市化女沼発電所の2物件を取得しました。これにより保有資産は23物件となり、パネル出力は約123MW、取得価格ベースでは約497億円規模へ拡大しています。上場インフラファンドの中でも引き続き上位クラスの資産規模を維持し、安定した収益基盤の強化を実現しました。
また、スポンサーであるカナディアン・ソーラー・グループとの連携を活用し、優先的売買交渉権に基づくパイプライン戦略を継続しました。スポンサーが有する開発案件や外部ネットワークを活用することで、今後の資産取得機会の確保にも取り組んでいます。
内部成長の面では、発電設備の安定運営と発電効率の向上に注力しました。当期の実績発電電力量は予想発電電力量に対して98.59%となり、天候要因の影響を受けながらも概ね計画に沿った発電実績を確保しています。さらに、九州エリアの発電所ではオンライン出力制御装置の導入を進めました。従来の終日制御方式から時間単位制御への移行を図ることで、出力制御時の売電ロスを抑制し、中長期的な売電収入の向上を目指しています。実際に当期の出力制御による想定逸失変動賃料は95千円と軽微な水準にとどまりました。
財務基盤の強化とESG経営の本格展開

財務面では、成長投資と資本市場評価の向上に取り組みました。2020年9月には新規資産取得のため1,000百万円の借入れを実施し、期末の借入金残高は260億円超となりました。一方で、約定返済を継続したことで財務規律を維持しています。期末のLTVは55.52%となりましたが、引き続き管理可能な水準で推移しており、将来的な投資余力の確保にも配慮した運営が行われました。
また、信用力の向上も大きな成果となりました。2020年7月には日本格付研究所(JCR)から長期発行体格付「A」を取得し、従来の「A-」から格上げされています。さらに、格付投資情報センター(R&I)からも新たに「A-」を取得し、資金調達手段の多様化と投資家層の拡大に向けた基盤を強化しました。加えて、決算後には上場インフラ投資法人として初となる公募グリーンボンドの発行を実現するなど、環境価値と財務戦略を結び付けた取り組みを進めています。
サステナビリティの分野では、ESGを重視した運営体制の構築が一段と進展しました。資産運用会社は国連責任投資原則(UN PRI)への署名後、その考え方を具体化するため「国連責任投資原則に係るアプローチ」を策定しています。ESGを単なる理念にとどめず、投資判断や運用実務に反映させる体制整備を進めたことは大きな前進でした。
さらに、保有する発電所において特定卸供給契約を締結し、再生可能エネルギー由来の電力を一般家庭や企業へ供給する取り組みも開始しました。再生可能エネルギーの普及促進に加え、発電所で使用する電力についても再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えるなど、環境価値の向上に取り組んでいます。あわせて、グリーンファイナンス・フレームワークを策定し、JCRによる最上位評価「Green1(F)」を取得するなど、環境面と資金調達面の双方で先進的な取り組みを推進しました。
脱炭素時代を見据えた成長基盤の整備
2020年12月期は、新型コロナウイルス感染拡大による不透明な事業環境の中にありながらも、資産拡大と安定運営を着実に実現した一年でした。営業収益は2,413百万円、営業利益は858百万円、当期純利益は716百万円を計上し、当期純利益は期初予想を上回る結果となっています。実績発電量は予想をわずかに下回ったものの、減価償却額の修正益や保険金収入なども寄与し、収益性を確保しました。
また、1口当たり分配金は3,700円を維持し、安定した投資主還元を継続しました。資産規模の拡大、格付向上による財務基盤の強化、ESG方針の具体化、さらには再生可能エネルギーの利用拡大に向けた新たな取り組みを進めたことで、同投資法人は持続的成長に向けた基盤を一層強固なものとしました。日本政府が2050年カーボンニュートラル実現を掲げる中、再生可能エネルギー資産への投資を通じて社会的価値と投資価値の双方を創出した決算期であったと総括できます。
