2026年10月23日にセントラル・リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,171円のところ3,411円で着地しました。
エニシオ名駅と上前津KDビルの取得で中部圏拡大戦略を加速

2026年8月期のセントラル・リート投資法人における最大の特徴は、スポンサー体制の強化を背景とした新規物件取得です。当期は2026年3月にエニシオ名駅と上前津KDビルを取得し、ポートフォリオの拡充を進めました。これにより保有物件数は20物件、取得価格ベースの資産規模は505億円まで拡大しています。特に名古屋を中心とする中部圏への投資を成長戦略の柱に据えており、名鉄都市開発とザイマックスグループによるダブルスポンサー体制を活用しながら、今後の外部成長につながる基盤整備を進めました。
内部成長においては、オフィスを中心に賃料増額の成果が顕著となりました。2026年8月期は賃料改定対象面積の70.5%にあたる約1,841㎡で増額改定を実現し、平均改定率も5.6%まで上昇しました。オフィス市場では空室率の低下と賃料上昇が続いており、保有物件のレントギャップはマイナス13.3%まで拡大しています。これは現在の契約賃料が市場賃料を下回る余地を示しており、将来的な賃料増額のポテンシャルは1期当たり約1億9,300万円に達しています。また、ポートフォリオ全体の稼働率は99.6%と高水準を維持しており、安定した収益基盤を確保しました。ホテルについても変動賃料型契約を活用し、高稼働率とADR向上による収益成長を図っています。
第三者割当増資とサステナビリティ体制の本格整備

財務面では、新規物件取得に伴う資金調達を実施しました。2026年3月には名鉄都市開発を割当先とする第三者割当増資を行い、13,140口の新投資口を発行して約15億円を調達しています。さらに、取得資金の一部として53億円の新規借入れを実施しました。その結果、有利子負債残高は252億円となり、総資産LTVは44.7%となりました。一方で、19行の金融機関との取引関係を維持し、R&Iによる発行体格付A-(安定的)を継続するなど、成長投資と財務健全性の両立を図っています。金利上昇局面ではありますが、借入先の多様化や変動金利の活用によって調達コストの抑制にも取り組みました。
サステナビリティ分野では、2025年10月に新たなサステナビリティ方針や各種規程を整備し、推進体制を強化しました。当期には上前津KDビルでCASBEE不動産評価認証Aランクを新たに取得し、グリーンビルディング認証取得物件は13物件、認証取得割合は延床面積ベースで86.5%に達しています。また、再生可能エネルギー100%電力の導入を推進し、2026年8月末時点でオフィス9物件に導入しました。加えて、GRESBリアルエステイト評価では「4スター」と「グリーンスター」を取得し、GRESB開示評価でも最上位の「Aレベル」を獲得しています。LED照明導入やグリーンリースの推進など、環境負荷低減と資産価値向上を両立させる取り組みも継続しました。
スポンサー体制刷新後の第一歩となった成長投資
2026年8月期は、名鉄都市開発とザイマックスグループによるダブルスポンサー体制へ移行した後、本格的な成長戦略の第一歩を踏み出した期となりました。エニシオ名駅および上前津KDビルの取得によって資産規模を拡大するとともに、高い稼働率を維持しながら賃料増額を進めたことで、外部成長と内部成長の双方で成果を上げています。今後も名古屋を核とした中部圏への投資拡大を掲げており、資産規模1,000億円の早期達成に向けた基盤づくりが進みました。
業績面では、営業収益1,967百万円、営業利益1,075百万円、経常利益897百万円、当期純利益896百万円を計上しました。取得物件の寄与や既存物件の賃料成長によりNOIは1,463百万円まで拡大し、1口当たり分配金は3,411円となっています。金利上昇環境下においても収益基盤の拡大とESG対応を着実に進めたことで、将来の成長に向けた土台を固めた決算であったといえます。
